瞳孔のある海辺

地上に聖者あゆませたまふ
烈日のもと聖者海辺にきたればよする浪浪
浪浪砂をとぎさるうへを
聖者ひたひたと歩行したまふ。
おん脚白く濡らし
怒りはげしきにたへざれば
足なやみひとり海辺をわたらせたまふ。
見よ 烈日の丘に燃ゆる瞳孔あり
おん手に魚あれども泳がせたまはず
聖者めんめんと涙をたれ
はてしなき砂金の道を踏み行きたまふ。

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