2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

3月の更新

自作(感人)の詩を追加 ケヤキ並木 詩をひらけば はてへ 友と探しに ついて ゆく 私の道 青森 つれづれ日記 中野の子ら 陰鬱な朝 こゝろ 立原道造の詩集を追加 日曜日 萱草に寄す 暁と夕の詩 優しき歌 中原中也の詩集を追加 山羊の歌 在りし日の歌 コンテン…

プロフィール

出身:福島県 在住:仙台 専攻:物理学 探求:歴史、哲学、思想、宗教 趣味:登山、旅行、温泉、ピアノ 学生時代は物理学を専攻して研究などをしていましたが、求めるものがなかったのでやめて、それからは哲学書など読んでどうすれば良いのか考えていました…

編集後記

この度、仕事の関係により仙台から埼玉へと引っ越すこととなり、東北を離れることとなった。私は主として詩を、地域の風土から得た物により創作しているため、大きく拠点が変わる今回を一つの区切りとすることとした。 そのなかでもここに掲載の詩は、2004年…

 ケヤキ並木

心 ふるえ ケヤキ並木 さらば この日 今生の別れ 街に 沿うて ケヤキ並木 人の ために 杜に宿る 朝日 浴びて ケヤキ並木 街に 光り 道を照らす 大地 残す ケヤキ並木 枠に はまり 幹はふるえ 裸根 反らす ケヤキ並木 狭き 杜は 地下に根ざす 枝を 広げ ケヤ…

人の弱さ

海の深さ 山は悲し 山の孤独 雲は悲し 雲の別れ 空は悲し 空の高さ 街は悲し 街の黒さ 雪は悲し 雪の刹那 星は悲し 星の廻り 森は悲し 森の乾き 石は悲し 石の尖り 川は悲し 川の濁り 人は悲し 人の弱さ 海は悲し (2005.2.10) 人だけが、自然でないのだ。 …

青森

我は見た 重き海の群青 深く蒼き山脈 絶白の頂 尊い青き空へと 《たっとい》 その 青き国は 鳥に 翼 海は 波 森に 裸身 山は 崖 人へ 道 求める (2005.1-2) 下北半島を遠くから見据える

冬道程

真っ白な雪ンコ 真っ白な雪ンコ にじんだインク 真っ白な雪ンコ 真っ白な雪ンコ 居座ったススキ 降り積もる綿雪 降り積もる綿雪 降り積もる綿雪 居座ったススキ くだされた冬空 くだされた冬空 くだされた冬空 突き刺さる鉄塔 突き刺さる鉄塔 吹き荒ぶ地吹雪…

ひょうけつ

うみの うえの くもは ひろく そらに わたり おやは こども つれて あおの なかに すわる かぜは とけて とまり ときの なかに おちて よせて かえす なみも ひろく みれば おなじ ひとは ひとを あいし やがて ひとを やどす ひとは いえに そだち いずれ …

幸《さいわい》を探しませう

幸《さいわい》を探しませう どこまでも行きませう 粉雪通る街の奥 震える柱の釘のもと 白さのにじむ待合所《まちあいじょ》 書き留められた落書きに 『山のあなたの空遠く 「幸《さいわい》」住むと人のいう』 ひときわ輝く書付《かきつけ》が 細かい字体で…

冬の王者

野生の王が雄叫《おたけ》びを掲げる ウウオ・・・ン ウウオ・・・ン 白い 白い 真っ白な肌に 野獣の毛を張り立たせる 我は王なり この国の王なり 春を越え、夏を越え、秋を越え、我は目覚める 芽を伸ばし、枝をつくり 葉を青く変え、真っ赤に、黄色くさせ …

電球の下を行く者

陰鬱《いんうつ》な空だ 明るいのでも暗いのでもなく 闇の中でむら雲がシルエットを示す 灰色で塗り固められた壁を さびて焼けただれたフェンスを 唯《ただ》どよんどよんしている 何か街の方はひどく明るすぎて 僕が歩いてゆくのには 地上にまで流れる雲が…

旅立ち

一人置かれた山の道 夕日に浮かぶ父の顔 落葉の海を辿《たど》りゆき 遠くの町を望みゆく まつぼっくりを拾いゆき 右手で握り空に投《な》ぐ ちぢんだこの実忘れない 夕暮れ雲に父の腕 枯葉を覆《おお》うホオの葉は 子供を隠す森の顔 遠い異国の人達に 踏ま…

下曲がりの木に

秋の切ない風に吹かれた 季節外れの虫達が 地面にへばりつくまいと 空に向かって飛び返す チラチラ チラリ チラチラリ そんな虫の群達が 一面に飛び跳ねる様に 目覚める物と追われる者の 命あるもののせめぎ合う姿を見た 葉の落ちきった木立の林 殺伐とした…

足湯

ねずみ色か灰色か 銀色から雪色へ 水色と浅葱色 みかん色は紅と 空を揺らすまだらな雲は 早くも冬の季節を受けて 赤みをおびた西の空へと 色づきつつも漂っている 見上げた目線の先の空 スタート地点と決めまして 薄くなりつる雲の隙間を 迷路に見立てて歩い…

小野川温泉

北風誘う晩秋に タオルを下げた男が一人 ペンとノートを鞄に入れて バスと歩みで辿り着く 遥か昔のみちのくへ 野越え山越え尋ね人 道行く疲れ湯に浸かり 再び小町《こまち》に戻すゆう 善意の小箱に小銭を入れて 湯の花浮かぶ露天の風呂へ 男のお湯では小町…

[詩][感人] 戻る足は持てない

埋もれたる渚の巻貝手にとりて うずに耳元かざして見ると 遠い潮の音《ね》聞こえるらしい いずこにか主《あるじ》を失くせし二枚貝《にまいがい》 共に歩《あゆみ》し対なる貝しか 重なり合うこと無いという 幾重《いくえ》にも重なり合いし落葉とは 日差《…

孤高《ここう》の男

一人夕暮れさまよえば 秋の里山《さとやま》前にして 色を失う者達の 群れて漂う声がする 道に連なるススキ穂の 風に吹かれて寄るしぐさ 頼る者なき一人身の 荒き世に立つわびしさよ サワワ サワサ ワササワワ 山間《やまま》に広がる田園の ハゲた頭に散っ…

星の光

旅先での私は、(電車)ステンレスにはね返る 光すらもとらえ、満たされてしまう 始まりの朝に、まだ見ぬ色を求めて やすらかに眠る私の中の光を 空に放して この青い森に向かって 私の対になる場所を 生まれた時に私へと うえつけられた一部の その元となる…

海と空の境界で

空を見ることが増えていた 人は、何も無いと言うけれど こんなにも満ちているではないか 眼下《がんか》には海が広がり 岸壁《がんぺき》に打ちつける 波しぶきが聞こえる 海に浮かぶ空は、まだら色で うろうろしていた 何も無いところにたたずむ人はいない …

ほほえむ君に

岩木山は、なめらかに、雄大な裾野を広げている。麓一面に広がるりんご畑、抱えきれぬ微笑を掲げ、水面《みなも》と空に語らいかける。 ほほえむ りんご きになる りんご むきあう りんご たびだつ りんご ほほえむ君を 手に取れば 柔肌《やわはだ》さぐる …

たそがれ殿の夢の跡

やまやまやま(山)に囲まれて ここは山形山の国 くもくもくも(雲)く覆われて 空にも山を築きたり やまやまやまを仰ぎ見て 出羽のお山に手をたたく かすかすみたつ(霞立つ)輝きは 人の思いか神の光《ひ》か やまやまやまの頂は 氷雪残す静けさに しずし…

石神の丘

風の過ぎ去った丘に 土へと帰る枯葉の溜息《ためいき》 わずかに残された雲に 山に宿る木霊の鈴の音《ね》 草に咲いた童女は《わらめ》は 済んだ時を守り 闇を統《と》べるフクロウは 森の人をつかむ 光の生成と消滅に 見つめる石の力 輝きいだく月の星に た…

ハゲ田

私の仕事は終わりました 水は抜かれて 稲は刈り取られ いがぐり頭になりました 夏には青々と草も茂り バッタや蝶々が飛び 蝉の鳴き声なんかも染み付き 風が吹くたびに歌い返したものです とても大きなぐるぐる風や 雀《すずめ》なんかにも突《つつ》かれまし…

空の泉

何もいらなかった 何もとらなかった 身を起こせば 窓の外が見え あの青い空だけでなく あの青い山も見えた 何もかもが、ゆっくりと動いている 眩《まぶ》しい日差しの中で 雲が西へと進んでゆくのを 共に流れてゆくことが出来た夏の日 雲は山向かいから飄々…

限りなき世界

稲穂の季節がやってくる 大地を埋め尽くす水田(みずた) いにしえよりの礎 深く豊かな東北 二つに分かつ峰々 無窮の力をたくわえ 道の奥と呼ばれし時を 胸に秘めし岩清水 冬の音 下曲《したま》がりの木 春の光 ブナの木漏れ日 夏の香《かおり》 土蒸す野原…

私の詩は、東北の森や山を歩いて聞いた、風の声と木々のささやきです。 私には友人がいません。私が去った後、机の引き出しにひっそりと入っている言葉を読んでくれる友人がいません。だから、私の言葉の一つでも見つけてくれる人を探しています。

流れる雲 〜心象スケッチ 東北から〜

目次 序 限りなき世界 空の泉 ハゲ田 石神の丘 たそがれ殿の夢の跡 ほほえむ君に 海と空の境界で 星の光 孤高の男 戻る足は持てない 小野川温泉 足湯 下曲がりの木に 旅立ち 電球の下を行く者 冬の王者 幸を探しませう ひょうけつ 冬道程 青森 人の弱さ ケヤ…

編集後記

この度、仕事の関係により仙台から埼玉へと引っ越すこととなり、東北を離れることとなった。私は主として詩を、地域の風土から得た物により創作しているため、大きく拠点が変わる今回を一つの区切りとすることとした。 そのなかでもここに掲載の詩は、2004年…

詩とは

詩ってなんだろう。そういうタイトルの谷川俊太郎さんの詩の本がありました。谷川さんはその本のなかで、さまざまな詩の形、音のリズムや表現・文の構造など色々な形を示して、詩そのもので答えようとしました。 私は詩を作り始めて3年ぐらいですが、詩をひ…

詩をひらけば

詩とは生きものだからね うれしい時にひらけば 笑っている時もあるし 怒っている時にひらけば 泣いている時もあるさ 詩とは生き物だからね (2005.3.24)