星の光

旅先での私は、(電車)ステンレスにはね返る
光すらもとらえ、満たされてしまう
始まりの朝に、まだ見ぬ色を求めて
やすらかに眠る私の中の光を
空に放して
この青い森に向かって
私の対になる場所を
生まれた時に私へと
うえつけられた一部の
その元となるモノを求めて

人の身に空は遠い
翼をつけて飛び立ったものは
再び地へと下りゆく
ただの移動ではない
それでは位置と時間の点の
一点を変えただけだ
今ある延長のものから
違う場所にいる延長の物へと
私の中に空気を吸い
固定した物に力を与え
その瞬間に流れる時へと入る
瞬間・瞬間のページから
私のいる世界へ

このステンレスの光さえ
私には、私を走らせる光となる

   (2004.10.1)
 弘前駅で、五能線に乗り込み、発車を待つ間、向かいの列車のステンレスの車体が朝の光を反射して光るのを見て