2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

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このサイトについて 詩人の紹介及び詩の掲載を行っています。 詩人の名前から詩を探す場合は、左<メニュー>「詩の紹介」から、詩のタイトルから探す場合は、右<日記の検索(一覧)>をご活用下さい。(詳細) 12月の更新 感人の詩を追加 立木 つれづれ …

タラヨウという木の葉っぱ

タラヨウ 写真の葉はタラヨウという木の葉っぱです。文字が浮き出ていますが、この木は葉の裏面に文字が書ける「葉書」の木です。 タラヨウの葉は肉厚で、鋭い鋸歯(縁がギザギザ)があり、10〜15cmぐらいの細長い卵形をしています。樹高は10mぐら…

立木

風が吹けば 風になれる そういう心で いつもありたい 森に居れば 森になれる そういう心で いつもありたい 海に来れば 海になれる そういう心で いつもありたい 空を見れば 空になれる そういう心で いつもありたい (2005.秋)

石尊と云う碧い小さな山がある〜信濃追分から〜

追分文学散歩道 追分文学散歩道は、信濃追分宿の裏手に平行して走っている林の小径です。追分宿の入口から分別れまで続くこの道には、唐松や白樺などの高原樹木がゆるやかに立ち上がり、かつての詩人達のやさしい詩声がその間から流れ出ていました。 冬が近…

堀辰雄の愛した石仏〜信濃追分泉洞寺から〜

大和路・信濃路 信濃追分宿の道沿いにある堀辰雄記念館を越えて、諏訪神社の先へ行くと、泉洞寺というお寺があります。小説家・堀辰雄はこのお寺にある石仏を愛したと言われており、小説「大和路・信濃路」の「樹下」の章で、この石仏について触れています。…

草笛老子〜信州小諸懐古園から〜

懐古園の草笛 信州小諸の懐古園では、不思議な音色を聞くことがあります。この音色は島崎藤村の詩「千曲川旅情」の曲が草笛で吹かれた音です。 この曲を流す装置は藤村記念館と藤村詩碑の間にあり、ボタンを押すと曲が流れるようになっています。一度ボタン…

このサイトについて

詩の紹介を行っているサイトです。 大正時代から昭和初期にかけて、四季派の詩人を中心に、詩人の紹介及びその詩の掲載を行っています。 先達の詩人達はその心身を世界に証し、自身の心臓を掴んで紙の上に言葉を残していきました。青い果実をもぎ取り、土の…

コスモスと猫

冬の近づく街並み ワイシャツ一枚で外を歩くと腕の辺りに冷たさ感じるようになりました。何回も洗濯されて薄くなったワイシャツの袖からは、風で息づいた紅い肌が透けて見えてきます。交差点を渡っていく人は足早に、それは寒くなったから急いでいるのかもと…

見出しの付け方

1.詩の掲載 [詩][(人名)] 題名(検索がしやすいように、見出しにはルビを入れない) 2.詩集の掲載 [詩集][(人名)] 題名 3.小説の掲載 [小説][(人名)] 題名 4.随筆の掲載 [随筆][(人名)] 題名 5.手紙・メモなどの掲載 [手紙][(人名)] 題名 6.詩人の…

汚れちまった悲しみに…

汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる 汚れつちまつた悲しみは たとえば狐の革袋 汚れつちまつた悲しみは 小雪のかかつてちぢこまる 汚れつちまつた悲しみは なにのぞむなくねがふなく 汚れつちま…

幼年囚の歌

1 こんなに酷《ひど》く後悔する自分を、 それでも人は、苛《いぢ》めなければならないのか? でもそれは、苛めるわけではないのか? さうせざるを得ないといふのか? 人よ、君達は私の弱さを知らなさすぎる。 夜《よ》も眠れずに、自《みづか》らを嘆くこ…

盲目の秋

Ⅰ 風が立ち、浪が騒ぎ、 無限の前に腕を振る。 その間《かん》、小さな紅《くれなゐ》の花が見えはするが、 それもやがては潰れてしまふ。 風が立ち、浪が騒ぎ、 無限のまへに腕を振る。 もう永遠に帰らないことを思つて 酷白《こくはく》な嘆息するのも幾た…

ポロリ、ポロリと死んでいく

俺の全身《ごたい》よ、雨に濡れ 富士の裾野に倒れたり 詠人不詳 ポロリ、ポロリと死んでゆく みんな分れてしまふのだ。 呼んだつて、帰らない。 なにしろ、此の世とあの世だから叶わない。 今夜《いま》にして、俺はやつとこ覚《さと》るのだ、 白々しい自…

ホラホラ、これが僕の骨だ、 生きてゐた時の苦労にみちた あのけがらはしい肉を破つて、 しらじらと雨に洗はれ、 ヌックと出た、骨の尖《さき》。 それは光沢もない、 ただいたづらにしらじらと、 雨を吸収する、 風に吹かれる、 幾分空を反映する。 生きて…

含羞

なにゆゑに こゝろかくは羞《は》ぢらふ 秋 風白き日の山かげなりき 椎の枯葉の落窪に 幹々は いやにおとなび彳《た》ちゐたり 枝々の 拱《く》みあはすあたりかなしげの 空は死児等の亡霊にみち まばたきぬ をりしもかなた野のうへは あすとらかんのあはひ…

黄昏

渋つた仄《ほの》暗い池の面で、 寄り合つた蓮の葉が揺れる。 蓮の葉は、図太いので こそこそとしか音をたてない。 音をたてると私の心が揺れる、 目が薄明るい地平線を逐《お》ふ…… 黒々と山がのぞきかかるばつかりだ ――失はれたものはかへつて来ない。 な…

少年時

黝《あをぐろ》い石に夏の日が照りつけ、 庭の地面が、朱色に睡つてゐた。 地平の果に蒸気が立つて、 世の亡ぶ、兆《きざし》のやうだつた。 麦田には風が低く打ち、 おぼろで、灰色だつた。 翔びゆく雲の落とす影のやうに、 田の面《も》を過ぎる、昔の巨人…

憔悴

Ⅰ 私はも早、善い意志をもつては目覚めなかつた 起きれば愁《うれ》はしい 平常《いつも》のおもひ 私は、悪い意思をもつてゆめみた…… (私は其処《そこ》に安住したのでもないが、 其処を抜け出すことも叶《かな》はなかつた) そして、夜が来ると私は思ふ…

正午

丸ビル風景 あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ 月給取の午休み、ぷらりぷらりと手を振つて あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ 大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出…

春宵感懐

雨が、あがつて、風が吹く。 雲が、流れる、月かくす。 みなさん、今夜は、春の宵。 なまあつたかい、風が吹く。 なんだか、深い、溜息が、 なんだかはるかな、幻想が、 湧くけど、それは、掴《つか》めない。 誰にも、それは、語れない。 誰にも、それは、…

サーカス

幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました 幾時代かがありまして 今夜此処での一と殷盛《さか》り 今夜此処での一と殷盛り サーカス小屋は高い梁 そこに一つのブランコだ 見えるともないブランコだ 頭倒《さか》…

頑是ない歌

思へば遠く来たもんだ 十二の冬のあの夕べ 港の空に鳴り響いた 汽笛の湯気《ゆげ》は今いづこ 雲の間に月はゐて それな汽笛を耳にすると 竦然《しようせん》として身をすくめ 月はその時空にゐた それから何年経つたことか 汽笛の湯気を茫然と 眼で追ひかな…

お天気の日の海の沖では

お天気の日の海の沖では 子供が大勢遊んでゐるやうです お天気の日の海をみてると 女が恋しくなつて来ます 女が恋しくなるともう浜辺に立つてはゐられません 女が恋しくなると人は日蔭に帰つて来ます 日陰に帰つて来ると案外又つまらないものです それで人は…

生ひ立ちの歌

I 幼年時 私の上に降る雪は 真綿《まわた》のやうでありました 少年時 私の上に降る雪は 霙《みぞれ》のやうでありました 十七―十九 私の上に降る雪は 霰《あられ》のやうに散りました 二十―二十二 私の上に降る雪は 雹《ひよう》であるかと思はれた 二十三 …

失せし希望

暗き空へと消え行きぬ わが若き日を燃えし希望は。 夏の夜の星の如くは今もなほ 遐《とほ》きみ空に見え隠る、今もなほ。 暗き空へと消えゆきぬ わが若き日の夢は希望は。 今はた此処《ここ》に打伏して 獣の如くは、暗き思ひす。 そが暗き思ひいつの日 晴れ…

中原中也の詩で好きな詩

リスト 失せし希望 生ひ立ちの歌 お天気の日の海の沖では 頑是ない歌 サーカス 春宵感懐 正午 憔悴 少年時 黄昏 含羞 骨 ポロリ、ポロリと死んでいく 盲目の秋 幼年囚の歌 汚れちまった悲しみに…

不思議な川辺で

私はおまへの死を信じる。おまへは死んだと、だれも私には告げない。また私はおまへの死の床《とこ》に立ち会わなかつた。それにも拘らず私は信じる、おまへがひとりさびしく死んで行つたと。――それはおそらく夜の明けようとするときだつたらう、おまへは前…

ひとり林に……

だれも 見てゐないのに 咲いてゐる 花と花 だれも きいてゐないのに 啼いてゐる 鳥と鳥 通りおくれた雲が 梢の 空たかく ながされて行く 青い青いあそこには 風が さやさや すぎるのだらう 草の葉には 草の葉のかげ うごかないそれの ふかみには てんたうむ…

ひとり林に……

山のみねの いただきの ぎざぎざの上 あるのは 青く淡い色 あれは空 空のかげに かがやく日 空のおくに ながれる雲……私はおもふ 空のあちこちを 夏の日に咲いてゐた 百合の花も ゆふすげも 薊(あざみ)の花も かたい雪の底に かくれてゐる みどりの草も い…

天の誘ひ

死んだ人なんかゐないんだ。 どこかへ行けば、きつといいことはある。 夏になつたら、それは花が咲いたらといふことだ、高原を林深く行かう。もう母もなく、おまへもなく。つつじや石榴の花びらを踏んで。ちようどついこの間、落葉を踏んだやうにして。 林の…