2005-12-01 ひとり林に…… 詩 立原道造 だれも 見てゐないのに 咲いてゐる 花と花 だれも きいてゐないのに 啼いてゐる 鳥と鳥 通りおくれた雲が 梢の 空たかく ながされて行く 青い青いあそこには 風が さやさや すぎるのだらう 草の葉には 草の葉のかげ うごかないそれの ふかみには てんたうむしが ねむつてゐる うたふやうな沈黙《しじま》に ひたり 私の胸は 溢れる泉! かたく 脈打つひびきが時を すすめる