2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

11月の更新

感人の詩を追加 野辺の道 信濃追分にて 信濃追分〜詩の風景〜 堀辰雄文学記念館 立原道造から堀辰雄への手紙 堀辰雄の小説の中での立原道造の思い出 つれづれ 星の王子様 横山大観「生々流転」 島崎藤村の詩集を追加 若菜集 一葉舟 夏草 落梅集 藤村詩集(序…

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このサイトについて 大正時代から昭和初期にかけての詩人の紹介及び詩の掲載を行っています。 詩人の名前から詩を探す場合は、左<メニュー>の「詩の紹介」から、詩のタイトルから探す場合は、右<日記の検索(一覧)>をご活用下さい。

星の王子様

不思議な木の実 内幸町付近の道を歩いていると、不思議な形をした木の実が落ちていました。壊さないように手に取って見ると、実はもうすっかり茶色くなってカラカラに乾いています。ウニの様に丸くてトゲトゲがあり、トゲの根本には種が入っていたのでしょう…

堀辰雄の小説の中での立原道造の思い出

堀辰雄文学記念館で、希望者に堀辰雄の作品「雪の上の足跡」のコピーを配っていたので、それを頂いて帰りました。堀辰雄の作品はまだまだ読んだ事の無い作品が残ってあり、この作品もその一つでした。 この話は企画展の「堀辰雄と雪」にも関係していますが、…

立原道造から堀辰雄への手紙

この日の日記は前回の堀辰雄文学記念館の日記の続きですが、テーマが変わるので別立てで書いています。 堀辰雄は小説家ですが詩の雑誌「四季」の生みの親であり、もともとこの雑誌は文芸誌「四季」として始まった物でした。しかしその形態のままで発行を続け…

堀辰雄文学記念館

軽井沢から続く国道沿いの道を歩き、一里塚を示す辛夷の木の所で横道の方に入ります。ここから先に追分宿はあり、追分宿及び軽井沢町西地区の資料を集めた追分宿記念館、浅間山の怒りを静めるための浅間神社、四季の人達が常宿とした油屋、そして目的の堀辰…

デクノボー

今日の会議の相手の人は、顔を真っ赤にさせてどうして良いのか分からないようでした。その通りなのです。どうして良いのか分からない、それが本当のところなのです。この街はもう何もかもが分からなくなっていて、一人一人の人が一生懸命仕事をしても、そう…

信濃追分〜詩の風景〜

軽井沢からしなの鉄道で二駅の所に、信濃追分駅という駅があります。そこは軽井沢のハイカラな雰囲気とは違い、東北の無人駅にある様な駅前から林が広がる所です。信濃追分駅のホームからは、線路に沿って迫り出すブロッコリーの状の森が見え、カーブを走る…

野辺の道

ひとつ この手の平にひとつ 花を拾おう 朽ちて枯れる葉は 桜の花の香り ひらり ひらりひとつ落ちる この一葉の葉のために 雲は 空をただよい ただよってはひとつ 葉を揺らして 唯空の中にあって 空の行方の事は 知らなかった 星は 一人思う この中にひとつ …

自序

若菜集、一葉舟、夏草、落梅集の四巻 をまとめて合本の詩集をつくりし時に 遂《つい》に、新しき詩歌《しいか》の時は来りぬ。 そはうつくしき曙《あけぼの》のごとくなりき。あるものは古《いにしへ》の預言者の如く叫び、あるものは西の詩人のごとくに呼ば…

藤村詩集 (序文のみ)

夏草の後にしるす

保福寺峠鳥居峠を越えて木曾に入りしはこの夏七月の中旬なりき。福島の高瀬氏はわが姉の稼ぎたるところにて、家は木曾川のほとりなる小丘に倚りて立てり。門を出でゝ見れば大江滔々として流る。われこの家にありて、峨々たる高山の壮観に接し、淙々たる谿谷…

農夫

凡そ万物に本来あり、改作耕稼もまた結要あるべし。農民は朝に霧を払い出て、夕に星を載て帰る。遠方野山に居る時は少し休むことあれば疇を枕にするといへども、楽も亦其中にあり。人は体を隠に置て気を詰ること老病する本歟。依之、山人は体を詰め気は泰に…

婚姻の祝いの歌

其一 花よめを迎ふるのうた 君まつ宵《よひ》のともしびは いとゞ火影《ほかげ》も花やかに 鶴なきわたる蓬莱の 千世《ちよ》のみどりを照すかな 祝の酒は香《か》にあふれ 錫《すゞ》の堤子《ひさげ》をひたしけり いざや門辺《かどべ》にたちいでゝ 君の来…

落梅

風かぐはしく吹く日より 夏の緑のまさるまで 梢のかたに葉がくれて 人にしられぬ梅ひとつ 梢は高し手をのべて えこそ触れめやたゞひとり わがものがほに朝夕《あさゆふ》を ながめて暮《くら》してすごすとき やがて鳴く鳥おもしろく 黄金《こがね》の色にそ…

天の河二首

其一 七月六日の夕 あすは思へばひとゝせに 一夜《ひとよ》の秋の夕《ゆふべ》なり うき世にしげるこひ草《ぐさ》を みそらの星もつまむとや 北斗は色をあらためて よろづの光なまめきぬ あふげば清し白銀《しろがね》の 夕波《ゆふなみ》高き天の河 深き泉…

二つの泉

自然の母の乳房《ちぶさ》より そこに流るゝ泉あり たとへば花の処女《をとめご》の やがて優しき母となり その嬰児《みどりご》の唇を うるほすさまに似たるかな 一つは清《す》みて冷《ひや》やかに 谷の間《あひだ》にほとばしり 葉を重ねたる青草《あを…

高山に登りて遠く望むの歌

高根《たかね》に登りまなじりを きはめて望み眺むれば わがゆくさきの山河《やまかは》は 目にもほがらに見ゆるかな みそらを凌《しの》ぐ雲の峯 砕《くだ》けて遠く青に入る こゞしくくしき磐《いは》が根《ね》の 連なり亙る山脈《やまなみ》は 海にきほ…

わすれ草をよみて

わすれぐさは島田氏のむすめ愛子が遺しおける歌文あまたありけるを、そが教へ親なる人の舟さしよせてしるしありやとつみあつめたるひとまきなり。序のうたは万里小路伯、小伝は東久世伯、追悼のうたを添へたるは竹柏園のうしなり。なほ巻の終にはともがきの…

新潮

一 彼《かれ》あげまきのむかしより 潮《うしほ》の音《おと》を聞き慣れて 磯辺に遊ぶあさゆふべ 海人《あま》の舟路を慕ひしが やがて空《むな》しき其夢は 身の生業《なりはひ》となりにけり 七月夏の海《うみ》の香《か》の 海藻《あまも》に匂ふ夕まぐ…

かりがね

さもあらばあれうぐひすの たくみの奧はつくさねど または深山《みやま》のこまどりの しらべのほどはうたはねど まづかざりなき一声《こゑ》に 涙をさそふ秋の雁《かり》 長きなげきは泄《も》らすとも なほあまりあるかなしみを うつすよしなき汝《なれ》…

うぐひす

さばれ空《むな》しきさへづりは 雀の群《むれ》にまかせてよ うたふをきくや鶯の すぎこしかたの思ひでを はじめて谷を出でしとき 朔風《きたかぜ》寒《さむ》く霰《あられ》ふり うちに望みはあふるれど 行くへは雲に隠《かく》れてき 露は緑の羽《はね》…

月光五首

さなり巌《いはほ》を撃《う》つ波の 夕《ゆふべ》の夢を洗ふとも 緑の岸に枕して 松眠りなばいかにせむ あふげば胸に忍び入る 清き光に照らされて われのみひとり笛吹けど 君踊らずばいかにせむ こよひ月かげ新しき 衣《ころも》を君にもたらすも としつき…

終焉の夕

潮《うしお》は落ちて帰りけり 生命《いのち》の岸をうつ波の やがて夕《ゆふべ》に回《めぐ》れるを ひきとゞむべきすべもなし 行くにまかせよ幾巻《いくまき》の 聖《ひじり》のふみはありとても 老婆のたくみも海山《うみやま》の 薬も今は力なし 八月螢…

暁の誕生

東の空のほのぼのと 汝《な》世は白《しら》みそめにけり この暁《あかつき》のさまを見て 命運《さだめ》をいかに占《うら》なはむ ことにさやけき紅《くれない》の 光を放つ明星や やがて処女《おとめ》となるまでの 汝《な》がおひさきのしるべせよ 朝風…

晩春の別離

時は暮れ行く春よりぞ また短きはなかるらむ 恨《うらみ》は友の別れより さらに長きはなかるらむ 君を送りて花近き 高楼《たかどの》までもきて見れば 緑に迷ふ鶯は 霞《かすみ》空《むな》しく鳴きかへり 白き光は佐保姫の 春の車駕《くるま》を照らすかな…

夏草

目次 晩春の別離 暁の誕生 終焉の夕 月光五首 うぐひす かりがね 新潮 わすれ草をよみて 高山に登りて遠く望むの歌 二つの泉 天の河二首 落梅 婚姻の祝いの歌 農夫 夏草の後にしるす 夏草に野中の水はうつもれぬ もとのこゝろをたとるはかりに 琴後集

鳥なき里

鳥なき里の蝙蝠や 宗助《そうすけ》鍬《くは》をかたにかけ 幸助《かうすけ》網を手にもちて 山へ宗助海へ幸助 黄瓜花さき夕影に 蝉鳴くかなた桑の葉の 露にすゞしき山道《やまみち》を 海にうらやむ幸助のゆめ 磯菜《いそな》遠近《をちこち》砂の上に 舟干…

問答の歌

(少年のためにとてよめるうた二首) 其 一 梅は酸《す》くして梅の樹の 葉かげに青き玉をなし 柿甘くして柿の樹の 梢に高くかゝれるを 君は酸からず甘からず 辛きはいかに唐《とう》がらし こたへていはく吾とても 柿の甘さを知れるなり 梅の酸きをも知れる…

鼠をあはれむ

星近く戸を照せども 戸に枕して人知らず 鼠《ねずみ》古巣《ふるす》を出づれども 人夢さめず驚かず 情《なさけ》の海の淡路島 通ふ千鳥の声絶えて やじりを穿《うが》つ盜人の 寝息をはかる影もなし 長き尻尾《しりを》をうちふりつ 小踊りしつゝ軒《のき》…