2005-11-12 落梅 詩 島崎藤村 風かぐはしく吹く日より 夏の緑のまさるまで 梢のかたに葉がくれて 人にしられぬ梅ひとつ 梢は高し手をのべて えこそ触れめやたゞひとり わがものがほに朝夕《あさゆふ》を ながめて暮《くら》してすごすとき やがて鳴く鳥おもしろく 黄金《こがね》の色にそめなせば 行きかふ人の目に触れて 落ちて履《ふ》まるゝ野路《のぢ》の梅 目次に戻る