落梅

風かぐはしく吹く日より
夏の緑のまさるまで
梢のかたに葉がくれて
人にしられぬ梅ひとつ

梢は高し手をのべて
えこそ触れめやたゞひとり
わがものがほに朝夕《あさゆふ》を
ながめて暮《くら》してすごすとき

やがて鳴く鳥おもしろく
黄金《こがね》の色にそめなせば
行きかふ人の目に触れて
落ちて履《ふ》まるゝ野路《のぢ》の梅

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