2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧

平成16年12月の更新

自作(感人)の詩を追加 幸を探しませう 冬の王者 電球の下を行く者 旅立ち 下曲がりの木に 冬に見る夢 足湯 つれづれ日記 和賀仙人駅:北上市 山田温泉:北津軽郡鶴田町(2) 津軽富士見湖:北津軽郡鶴田町(1) 詩画展を見に 詩人 石川啄木の紹介・詩を…

幸《さいわい》を探しませう

幸《さいわい》を探しませう どこまでも行きませう 粉雪通る街の奥 震える柱の釘のもと 白さのにじむ待合所《まちあいじょ》 書き留められた落書きに 『山のあなたの空遠く 「幸《さいわい》」住むと人のいう』 ひときわ輝く書付《かきつけ》が 細かい字体で…

冬の王者

野生の王が雄叫《おたけ》びを掲げる ウウオ・・・ン ウウオ・・・ン 白い 白い 真っ白な肌に 野獣の毛を張り立たせる 我は王なり この国の王なり 春を越え、夏を越え、秋を越え、我は目覚める 芽を伸ばし、枝をつくり 葉を青く変え、真っ赤に、黄色くさせ …

和賀仙人駅:北上市

朝早い仕事のため、岩手県北上市へと前日から出かける。仙台の時点で曇り空だった天気は、北上の駅を降りる頃にはすっかり雨となっていた。地方線である2両編成の北上線に乗り換えてほっとゆだ駅で降り立ち、同僚とともにタクシーに乗り込み湯田薬師温泉へ…

石川啄木について

石川啄木は明治19年(1886年)岩手県日戸村(現玉山村)に住職の息子として生まれた。中学時代から短歌に親しみ、19歳で上京し、詩壇の先輩達と交わることで詩作の道が開け、詩集「あこがれ」を出版することでいち早く詩人として注目された。しかし…

電球の下を行く者

陰鬱《いんうつ》な空だ 明るいのでも暗いのでもなく 闇の中でむら雲がシルエットを示す 灰色で塗り固められた壁を さびて焼けただれたフェンスを 唯《ただ》どよんどよんしている 何か街の方はひどく明るすぎて 僕が歩いてゆくのには 地上にまで流れる雲が…

旅立ち

一人置かれた山の道 夕日に浮かぶ父の顔 落葉の海を辿《たど》りゆき 遠くの町を望みゆく まつぼっくりを拾いゆき 右手で握り空に投《な》ぐ ちぢんだこの実忘れない 夕暮れ雲に父の腕 枯葉を覆《おお》うホオの葉は 子供を隠す森の顔 遠い異国の人達に 踏ま…

下曲がりの木に

秋の切ない風に吹かれた 季節外れの虫達が 地面にへばりつくまいと 空に向かって飛び返す チラチラ チラリ チラチラリ そんな虫の群達が 一面に飛び跳ねる様に 目覚める物と追われる者の 命あるもののせめぎ合う姿を見た 葉の落ちきった木立の林 殺伐とした…

山田温泉:北津軽郡鶴田町(2)

津軽に行くと友人に話したところ、黒石市のランプの宿を進められた。じつに心を揺り動かされるひなびた宿なのだが、電車とバスで移動の身分の私には、とても行けそうに無い秘湯であった。そこで次に目を付けたのは、大鰐温泉。弘前から近く、電車の大鰐温泉…

津軽富士見湖:北津軽郡鶴田町(1)

太宰治の小説「津軽」では、津軽の雪として「こな雪、つぶ雪、わた雪、みづ雪、かた雪、ざらめ雪、こほり雪」の7つがあげられている。津軽とは、青森市を含む青森県の西半分を言い、青森市、弘前市、黒石市、五所川原市、東津軽郡、西津軽郡、中津軽郡、南…

破れた腰掛

昼は落葉をのせ 夜は露をのせる 公園の片隅の破れた腰掛。 家出して行方のしれぬ我が父に 後姿のよく似た物乞《ものごひ》を町に見た時、 初めて私は此処《ここ》へ来た。

物なやみ

青草の茂みの中に 我一人身を横《よこた》へて、 鉄軌《レール》の路《みち》の彼方なる 真夏の城の銀《しろがね》の柵かと見ゆる 白樺の木立《こだち》を遠く眺めつつ、 眺め入りつつ、 ふと、八月のいと暗き物のなやみを、 捉へがたなく、言い難き物のなや…

夏の街の恐怖

焼けつくやうな夏の日の下《もと》に おびえてぎらつく軌条《レール》の心。 母親の居睡《いねむ》りの膝《ひざ》から辷《すべ》り下りて、 肥《ふと》つた三歳《みつつ》ばかりの男の児が ちよこちよこと電車線路へ歩いて行く。 八百屋の店には萎《な》えた…

老《お》いたるも、或《ある》は、若きも、 幾十人、男女《をとこをみな》や、 東より、はたや、西より、 坂の上、坂の下より、 おのがじし、いと急《せは》しげに 此処《ここ》過ぐる。 今わが立つは、 海を見る広き巷《ちまた》の 四の辻。――四の角なる 家…

書斎の午後

われはこの国の女を好まず。 読みさしの舶来《はくらい》の本の 手ざはりあらき紙の上に、 あやまちて零《こぼ》したる葡萄酒《ぶだうしゆ》の なかなかに浸《し》みてゆかぬかなしみ。 われはこの国の女を好まず。

蟹に

潮《しほ》満ちくれば穴に入《い》り、 潮落ちゆけば這《は》ひ出《い》でて、 ひねもす横に歩むなる 東の海の砂浜の かしこき蟹《かに》よ、今此処《ここ》を、 運命《さだめ》の波にさらはれて、 心の龕《づし》の燈明《みあかし》の 汝《なれ》が眼よりも…

冬に見る夢

街ゆく人々の足音が、 空っ風に響くその音 天に向けて裸をそらす枝々 寒さに揺れる梢 通りの木々は、葉を落とし 冬の空を透かす裸となった。 空を仰いでいる私は、ついに レンガの枠を超え 霜で湿った枯葉を踏み この手の平で幹をつかみ ガサガサした幹をつ…

詩画展を見に

少し前になるが、陸前白沢の戸神山(504m)を歩きに出かけた後に、作並にあるニッカウィスキーの工場に出かけてきた。お酒を飲みに言ったのではなくて、この前知り合った石川かおりさんという油絵を描いている方が、そこで個展を開くと話していたので、…

足湯

ねずみ色か灰色か 銀色から雪色へ 水色と浅葱色 みかん色は紅と 空を揺らすまだらな雲は 早くも冬の季節を受けて 赤みをおびた西の空へと 色づきつつも漂っている 見上げた目線の先の空 スタート地点と決めまして 薄くなりつる雲の隙間を 迷路に見立てて歩い…