電球の下を行く者

陰鬱《いんうつ》な空だ
明るいのでも暗いのでもなく
闇の中でむら雲がシルエットを示す
灰色で塗り固められた壁を
さびて焼けただれたフェンスを
唯《ただ》どよんどよんしている

何か街の方はひどく明るすぎて
僕が歩いてゆくのには
地上にまで流れる雲が必要だ
枯葉色《かれはいろ》の帽子を被《かぶ》り
桧皮色《ひわだいろ》のコートをつかみ
大地の黒い足跡を見て歩く

いつもは骨と皮となった欅《けやき》も
何か頭をテカラセテ
どこの国の生き物かわからない
幹も見えず、枝も知らず
梢も聞こえない
彼も私のように足のみで生きている

明日はいつ来るのか
東北らしからぬ冬を
怒れる嵐が巻き上げていった

    (2004.12.16)
 仙台光のページェントを、勾当台から西公園へと歩く