2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

平成16年9月の更新

自作(感人)の詩を追加 石彫 ハゲ田 石神の丘 空の泉 限りなき世界 琥珀の思いに つれづれ 岩手山の伝説:岩手県 石神の丘美術館:岩手町 秋田県の親子丼 詩人 津村信夫の詩を追加 ETUDE 荒地野菊 孤児 詩人の出発 小児の絵筆の思ひ出に 春夜 はるかなもの…

石彫

風の過ぎ去った丘に わずかに残された雲に 陽《ひ》へと帰る枯葉《かれは》に 山に宿る者達の念仏《ねんぶつ》が始まる 繰返す者達 生成と消滅の間には 時と時が結ばれ その時々の黄昏《たそがれ》が含まれる 止まった時の形から 世界の渦へと授《あずけ》け…

ハゲ田

私の仕事は終わりました 水は抜かれて 稲は刈り取られ いがぐり頭になりました 夏には青々と草も茂り バッタや蝶々が飛び 蝉の鳴き声なんかも染み付き 風が吹くたびに歌い返したものです とても大きなぐるぐる風や 雀《すずめ》なんかにも突《つつ》かれまし…

石神の丘

風の過ぎ去った丘に 土へと帰る枯葉の溜息《ためいき》 わずかに残された雲に 山に宿る木霊の鈴の音《ね》 草に咲いた童女は《わらめ》は 済んだ時を守り 闇を統《と》べるフクロウは 森の人をつかむ 光の生成と消滅に 見つめる石の力 輝きいだく月の星に た…

空の泉

何もいらなかった 何もとらなかった 身を起こせば 窓の外が見え あの青い空だけでなく あの青い山も見えた 何もかもが、ゆっくりと動いている 眩《まぶ》しい日差しの中で 雲が西へと進んでゆくのを 共に流れてゆくことが出来た夏の日 雲は山向かいから飄々…

春夜

星のちかい山の小都市で、娘《むすめ》は病《やま》ひに臥《ふ》せつてゐた。 天《そら》は、いくたびか雪を降らせた。 それから、幾夜《いくよ》さか、晴れた天《そら》がさしのぞかれたが、屋根《やね》の積雪《せきせつ》はかたくて、もう月光《ひかり》…

ETUDE

秋が来たら、ああ、それは小さな街《まち》の何処《どこ》にも木洩《こもれ》れ日《び》の美しい、蜂蜜《はちみつ》の潤沢《じゅんたく》な……。 この約束を私は疑わない。また去年《こぞ》の旅を続けよう、去年《こぞ》の日の私の思念《パンセ》のなかでは、…

限りなき世界

稲穂の季節がやってくる 大地を埋め尽くす水田(みずた) いにしえよりの礎 深く豊かな東北 二つに分かつ峰々 無窮の力をたくわえ 道の奥と呼ばれし時を 胸に秘めし岩清水 冬の音 下曲《したま》がりの木 春の光 ブナの木漏れ日 夏の香《かおり》 土蒸す野原…

石神の丘美術館:岩手町

いわて沼宮内で電車を降り、石神の丘美術館へと向かう。ここ岩手町は、黒御影石が産出され、石彫に力を入れている。御影石とは、御影地方(兵庫県六甲山ふもと)が産地として有名な花崗岩質岩石の石材名であり、庭石・墓石や石造品に多く用いられている石で…

岩手山の伝説:岩手県

台風18号が東北地方を過ぎ去り、晴れ渡った木曜日、岩手県岩手町への出張のため「はやて」に乗り込んだ。古川が近づくにつれて田園地帯が広がり、黄金(こがね)色のじゅうたんが風の通り道を示す。週末が刈り入れ時だというたわわに実った稲は、朝食を食…

琥珀の思いに

眠れぬ夜の月の下 夜露《よつゆ》が香る草の上 琥珀《こはく》の中のかけた心が 誰にも触れず歩き出す 私の放したいたずらは 君の心を惑わせて 木の葉を揺らすため息に 手元の草を絡ませる 私はそっと手を添えて 幼さ残る瞳から すべてをとかす微笑を 琥珀の…

秋田県の親子丼

秋田県に出張に出かけていた。 台風16号の真っ盛りであり、差した折り畳み傘は、急に横から吹いた風により骨が逆に曲がり、使えなくなってしまった。朝から濡れ鼠である。 能代市で食事を取った時の話。親子丼を注文し食べると、なぜか具にタケノコとシイ…