2004-09-20から1日間の記事一覧

春夜

星のちかい山の小都市で、娘《むすめ》は病《やま》ひに臥《ふ》せつてゐた。 天《そら》は、いくたびか雪を降らせた。 それから、幾夜《いくよ》さか、晴れた天《そら》がさしのぞかれたが、屋根《やね》の積雪《せきせつ》はかたくて、もう月光《ひかり》…

ETUDE

秋が来たら、ああ、それは小さな街《まち》の何処《どこ》にも木洩《こもれ》れ日《び》の美しい、蜂蜜《はちみつ》の潤沢《じゅんたく》な……。 この約束を私は疑わない。また去年《こぞ》の旅を続けよう、去年《こぞ》の日の私の思念《パンセ》のなかでは、…