2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

平成16年10月の更新

自作(感人)の詩を追加 海と空の境界で 心変わりの樹 たそがれ殿の夢の跡 手と手の平の冬木立 放課後の時 双葉 星の光 ほほえむ君に その他メモ デクノボー 詩人 石川啄木の詩を追加 ココアのひと匙 我を愛する歌 コンテンツ コンテンツ(一覧)

双葉

花は咲かなかった 僕は泣かなかった 部屋には書籍が満ちていた 心にはしじまが 秋の空、近くの店で見つけた ほころび始めた蕾《つぼみ》の姿で 淡紅色の花を咲かすという 駐車場に続くベランダの 洗濯物のその下で ほっそりとした茎を伸ばしたその先に 大和…

心変わりの樹

物理棟入り口のすぐ脇に、小ぶりだが、枝を広げたモミジの樹がある 「なぜこうなったの」 5月の風に訊《き》かれたとしたら 私はそう答えよう 「ただ美しかったから」と それでよいのです、と あの時、傾きかけた日差しの下で 誰かが建物に入って行った 幾…

手と手の平の冬木立

朝地下鉄でぐらりとゆれて はっと手すりへ手を繋ぐ 手と手の平は荒れ果てていて 一足早い冬木立 物書き付けるその元に 手と手の平があったはず 心を通って腕へ手へ 万年筆のペン先へ 書き付けられたその先は 声も切れ切れ秋の蝉 早くも冬がやってきた 湯へと…

ココアのひと匙

われは知る、テロリストの かなしき心を―― 言葉とおこなひを分ちがたき ただひとつの心を、 奪はれたる言葉のかはりに おこなひをもて語らんとする心を、 われとわがからだを敵に擲《な》げつくる心を―― しかして、そは真面目《まじめ》にして熱心なる人の常…

たそがれ殿の夢の跡

やまやまやま(山)に囲まれて ここは山形山の国 くもくもくも(雲)く覆われて 空にも山を築きたり やまやまやまを仰ぎ見て 出羽のお山に手をたたく かすかすみたつ(霞立つ)輝きは 人の思いか神の光《ひ》か やまやまやまの頂は 氷雪残す静けさに しずし…

星の光

旅先での私は、(電車)ステンレスにはね返る 光すらもとらえ、満たされてしまう 始まりの朝に、まだ見ぬ色を求めて やすらかに眠る私の中の光を 空に放して この青い森に向かって 私の対になる場所を 生まれた時に私へと うえつけられた一部の その元となる…

海と空の境界で

空を見ることが増えていた 人は、何もないと言うけれど こんなにも満ちているではないか 眼下《がんか》には海が広がり 岸壁《がんぺき》に打ちつける 波しぶきが聞こえる 海に浮かぶ空は、まだら色で うろうろしていた 何も無いところにたたづむ人はいない …

ほほえむ君に

岩木山は、なめらかに、雄大な裾野を広げている。麓一面に広がるりんご畑、抱えきれぬ微笑を掲げ、水面《みなも》と空に語らいかける。 ほほえむ りんご きになる りんご むきあう りんご たびだつ りんご ほほえむ君を 手に取れば 柔肌《やわはだ》さぐる …

デクノボー

もとは詩としてつくったものでが、詩を読んでも、その舞台となる風景を見たことが無い人には、想像しにくいことから、見たことが無い人にも、その風景のよさを感じてもらえたらいいと思い、小分けで絵が入るように考えてみました。そのうち機会があれば絵を…

放課後の時

教室の空気は重い 口聞《き》く者おらず 皆《みな》かりかりとペンを走らせ 皆カタカタと指をたたく その部屋は不釣合いで 木枠の大きな窓 時代へのタイムスリップ 一人空を見る放課後の教室 黒板の上には標語 行事・コンダテ・清掃当番 僕にはもういっぱい…