限りなき世界

稲穂の季節がやってくる
大地を埋め尽くす水田(みずた)
いにしえよりの礎
深く豊かな東北

二つに分かつ峰々
無窮の力をたくわえ
道の奥と呼ばれし時を
胸に秘めし岩清水

冬の音 下曲《したま》がりの木
春の光 ブナの木漏れ日
夏の香《かおり》 土蒸す野原
あふれだした曲水(まがりみず)

黄(き)から緑(み)へ 緑(み)から藍(あい)へ
伸びよ伸びよ 空まで届け
実(み)から地(ち)へ 地(ち)から穂(ほ)へ
稔《みの》れ稔れ 宙へと届け

はるかなる東北は
どこまでも黄金色で
私の手の平は
素手で太陽をつかむほどだ

自然の織りなすシンフォニー
大地を星へと染めてゆく
秋の東北へ

(2004.9) 新幹線はやてに乗って、仙台から盛岡までの景色を眺めて。主に古川の稲田を