冬に見る夢

街ゆく人々の足音が、
空っ風に響くその音
天に向けて裸をそらす枝々
寒さに揺れる梢
通りの木々は、葉を落とし
冬の空を透かす裸となった。

空を仰いでいる私は、ついに
レンガの枠を超え
霜で湿った枯葉を踏み
この手の平で幹をつかみ
ガサガサした幹をつかみ
足をガニマタに引っ掛け
ずるずるのぼり、のぼり
枝の間へと身体を寄せ
枝の先にあるはずの
早くも蓄えた春の芽を
荒れた指先でもたげている。

誰も振り向くことのない
目を背ける目線もない所で
足早に人々が家へと過ぎ去る中
春の芽を探っている。
そしてこのまま、幾重もの降雪を経て
切なさの中で目覚めるだろうと
そんな夢を、私は見る。

    (2004.12.2)
宮城県山本町の深山の頂上で、枯葉が落ちた後の木の枝先に、来春に開く葉の芽が蓄えられているのを見た次の次の日、定禅寺どおりを歩いてケヤキの木を見て。