幼年囚の歌



こんなに酷《ひど》く後悔する自分を、
それでも人は、苛《いぢ》めなければならないのか?
でもそれは、苛めるわけではないのか?
さうせざるを得ないといふのか?

人よ、君達は私の弱さを知らなさすぎる。
夜《よ》も眠れずに、自《みづか》らを嘆くこの男を、
君達は知らないのだ、嘆きのために、
果物にもパンにももう飽《あ》かしめられたこの男を。

君達は知らないのだ、神のほか、地上にはもうよるべのない、
冬の夜《よ》は夜空のもとに目も耳もないこの悲しみを。
それにしてもと私は思ふ、

この明瞭なことが、どうして君達には見えないのだらう?
どうしてだ? どうしてだ?
君達は、自疑《じぎ》してるのだと私は思ふ……



今夜《こよ》はまた、かくて呻吟《しんぎん》するものを、
明日《あす》の日は、また罪犯す吾《われ》なるぞ。
かくて幾たび幾そたび繰返すとも悟らぬは、
いかなる呪《のろ》ひのためならむ。

かくは烈しく呻吟し
かくは間《ま》なくし罪つくる。
繰返せども返せども、
つねに新し、たびたびに。

かくは烈しく呻吟し、
などてはまたも繰返す?
かくはたびたび繰返し、
などては進みもなきものか?

われとわが身にあらそへば
人の喜び、悲しみも、
ゼラチン透《す》かし見るごとく
かなしくもまたおどけたり。