幼年囚の歌
1
こんなに酷《ひど》く後悔する自分を、
それでも人は、苛《いぢ》めなければならないのか?
でもそれは、苛めるわけではないのか?
さうせざるを得ないといふのか?
人よ、君達は私の弱さを知らなさすぎる。
夜《よ》も眠れずに、自《みづか》らを嘆くこの男を、
君達は知らないのだ、嘆きのために、
果物にもパンにももう飽《あ》かしめられたこの男を。
君達は知らないのだ、神のほか、地上にはもうよるべのない、
冬の夜《よ》は夜空のもとに目も耳もないこの悲しみを。
それにしてもと私は思ふ、
この明瞭なことが、どうして君達には見えないのだらう?
どうしてだ? どうしてだ?
君達は、自疑《じぎ》してるのだと私は思ふ……
2
今夜《こよ》はまた、かくて呻吟《しんぎん》するものを、
明日《あす》の日は、また罪犯す吾《われ》なるぞ。
かくて幾たび幾そたび繰返すとも悟らぬは、
いかなる呪《のろ》ひのためならむ。
かくは烈しく呻吟し
かくは間《ま》なくし罪つくる。
繰返せども返せども、
つねに新し、たびたびに。
かくは烈しく呻吟し、
などてはまたも繰返す?
かくはたびたび繰返し、
などては進みもなきものか?
われとわが身にあらそへば
人の喜び、悲しみも、
ゼラチン透《す》かし見るごとく
かなしくもまたおどけたり。