2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

友と探しに

雨が すきさ うたを うたおう 森が すきさ ふたり やすもう 山が すきさ うでを のばそう 風が すきさ くさを なでよう 雲が すきさ ともを さがそう 海が すきさ ゆめを かたろう 空が すきさ あすへ あるこう (2005.3.17) 八木重吉の詩「雨の日」を詠んで

はてへ

そらの はて そらのはては どこに ある どこにあるの いつの ひに いつのひにか めぐり くる めぐりくるの めざす さき めざすさきに たどり つく たどりつくか まもる もの まもるものを みつけ だし みつけだして そのひ まで そのひまでに すくい だし す…

ついて ゆく

くもが ゆく くもが ゆく くもが ゆき すぎる ひとが ゆく ひとが ゆく ひとが ゆき すぎる ぼくは…… くもに ついて ゆく (2005.2.18) 列車の窓から

私の道

それで いいんだ それでいいんだ 風に削れ 雨に打たれ 雪に焼かれる それで いいんだ それで いいんだ (2005.3.1) ツライコトガアッタ。ココモサッテユクノカ。

 すきな ものを うたう

ぼくは ゆきの うたを うたう やまが すきだ かわが すきだ もりが すきだ ぼくは うみの うたを うたう しまが すきだ かぜが すきだ そらが すきだ すきな ものを うたう (2005.2.20) この社会のあらゆるものに囚われず、透明に生きたい。

はじまりのところへ

もう 帰りたくなってきたんだ 雲の 始まりのところへ 僕は こんな草原に一人でいると どこに帰ればいいのか 本当にわからなくて 山の 上の方まで 伸びた雲の裾野を追って 歩いていくんだよ 僕には この世界に 居場所がなかった 生まれた時に そう思ったわけ…

たとえばこんな話

たとえばこんな話 引き算が出来なくては ノートを足され 家で座っていたら 外に出され 空を眺めていたら ボールを当てられ うつむいて歩くと 上を見ろと言う 教室の机のように 乱れては 直され 崩れては 立たされ 穢れて清められる 時にはみんなが 大きな渦…

旅の分かれ目

タイピンを抜き、ネクタイを取る ワイシャツのボタンを緩める 移動の車内の中 この時は曖昧な時だ 仕事から仕事先へ 人は肘掛のボタンへと 背もたれを緩める この時をどう生きるかが旅の分かれ目だ 想像して見たまえ 窓は車内に陰を落していても 外には人っ…

シミツイタ痛ミハ 雪ニニジンデトケナイ (2005.1.17)

ひとつの始まり

もう 望み無きこと、悲しみを願う。 夢に見るべき幸せも描けず 草原を走った思い出すらもない。 家族と撮った幼年時の写真は 安いフライパンの上で残らず焼けた。 これが世界 これが未来 世界の始まりは絶望であると考える。 何も無きこと、それはすべてがあ…

荒々しくも気高く

手の平を太陽にかざし 血潮を感じる僕ら 枝端を雪上(切情)にさらし 冬芽を宿す彼ら インクの粘性を溶き 白線に時を書きゆける私 目尻につたう物を見 声をはらし地を走る僕ら 根を巌《いわお》に張り居《きょ》す 雷《らい》に割《さ》け霜に軋《きし》む彼…

一歩

後《のち》の彼の日記を読むと その日大学屋上のフェンスを越え 空と建物の境界へと立ったが 私には自殺のための一歩が欠けている そう記《しる》してあった。 毎年遺書のような言葉を書き 死に場所を探し、生まれてきたような場所を探し 私は冬に臨《のぞ》…

新年

雪の下 影をやなせる 旅人の 光をみつるや あらたまの年

冬に見る夢

街ゆく人々の足音が、 空っ風に響くその音 天に向けて裸をそらす枝々 寒さに揺れる梢 通りの木々は、葉を落とし 冬の空を透かす裸となった。 空を仰いでいる私は、ついに レンガの枠を超え 霜で湿った枯葉を踏み この手の平で幹をつかみ ガサガサした幹をつ…

悲しい事をいう

秋立つ頃から散ってくる 掃《は》いたそばから落ちてくる 風が吹く度増えてくる 雨に降られてちぢこまる 一度に落とす策《さく》なき物か ひっそり枯らす薬はないか そんな話を人から聞いた 悲しい事を言うではないか 都会の人は忙しく 一度に散らすものなの…

双葉

花は咲かなかった 僕は泣かなかった 部屋には書籍が満ちていた 心にはしじまが 秋の空、近くの店で見つけた ほころび始めた蕾《つぼみ》の姿で 淡紅色の花を咲かすという 駐車場に続くベランダの 洗濯物のその下で ほっそりとした茎を伸ばしたその先に 大和…

心変わりの樹

物理棟入り口のすぐ脇に、小ぶりだが、枝を広げたモミジの樹がある 「なぜこうなったの」 5月の風に訊《き》かれたとしたら 私はそう答えよう 「ただ美しかったから」と それでよいのです、と あの時、傾きかけた日差しの下で 誰かが建物に入って行った 幾…

手と手の平の冬木立

朝地下鉄でぐらりとゆれて はっと手すりへ手を繋ぐ 手と手の平は荒れ果てていて 一足早い冬木立 物書き付けるその元に 手と手の平があったはず 心を通って腕へ手へ 万年筆のペン先へ 書き付けられたその先は 声も切れ切れ秋の蝉 早くも冬がやってきた 湯へと…

石彫

風の過ぎ去った丘に わずかに残された雲に 陽《ひ》へと帰る枯葉《かれは》に 山に宿る者達の念仏《ねんぶつ》が始まる 繰返す者達 生成と消滅の間には 時と時が結ばれ その時々の黄昏《たそがれ》が含まれる 止まった時の形から 世界の渦へと授《あずけ》け…

琥珀の思いに

眠れぬ夜の月の下 夜露《よつゆ》が香る草の上 琥珀《こはく》の中のかけた心が 誰にも触れず歩き出す 私の放したいたずらは 君の心を惑わせて 木の葉を揺らすため息に 手元の草を絡ませる 私はそっと手を添えて 幼さ残る瞳から すべてをとかす微笑を 琥珀の…

河原で汲み上げる物

我、石を拾い集める 時の泉で 我、石を積み重ねる 賽の河原で 失(う)せた流れに 置き去《ざ》られた思いを 一人たたずむ 先の無い河原で 音も無く崩れる 重ねあげた真理は 繰返された世界の 不条理な礎 生まれた日の喜びは 少年の日に忘れ 少年の日の夢は …

詩を詠む時とはどんなときでしょうか。 日々の生活の上での心情の吐露と、自然の中を歩くなかでの詩を詠みたいと言う心を、詩に託ました。

詩人の心 〜詩を詠む時を見つめて〜

目次 序 河原で汲み上げる物 琥珀の思いに 石彫 手と手の平の冬木立 心変わりの樹 双葉 悲しい事をいう 冬に見る夢 新年 一歩 荒々しくも気高く ひとつの始まり 闇 旅の分かれ目 たとえばこんな話 はじまりのところへ すきな ものを うたう 私の道 ついて ゆ…

編集後記

この度、仕事の関係により仙台から埼玉へと引っ越すこととなり、東北を離れることとなった。私は主として詩を、地域の風土から得た物により創作しているため、大きく拠点が変わる今回を一つの区切りとすることとした。 そのなかでもここに掲載の詩は、2003年…

この胸に 涙流れん この胸に 涙流れん 涙とは 悲しみなり 宿りなき 恨み 悔い出せぬ ありか シジマヘトうめく この胸に 涙流さん この胸に 涙流さん 涙とは 最たるものなり こらええぬ とどまらぬ 一番の時なり きずついたアゴを正せ この胸に 涙流さぬ この…

遠い空の果ての悲しみ

テロリストとは何ぞや この国の 革命家とは何か 我らは 悲しみを知らない 例えば、老けた彼なのか 大学受験の会場で、はじめて見かけた忘れ物 安保時代の忘れ物 白衣を羽織りメット付け 白いマスクにサングラス 古よりか伝えしは 朝早くからビラ配り、授業は…

ゲロゲーロ

お腰が痛む 4日間出張を続け 明日は5日目だ 顔を付け合せた部長は 1点に辟易《へきえき》して 私の腰はギリギリする △と×の差は大きい ビジネスホテルのベットの上で 足は正座をしたまま 両手を前に出してうずくまり アラーへといかぬまでも 枕を抱えてカ…

遅くおきた昼に

おそよーございます 真ん中に昇った太陽に 乾いて白い空に おそよーございます 部屋に住んでる鉢植えに 日の光を受けたカーテンに 酒瓶が転がっています ごめんなさい昨日も飲みました 一昨日は店で飲みました 今日も友と飲みます 昔はビールが少ししか飲め…

放課後の時

教室の空気は重い 口聞《き》く者おらず 皆《みな》かりかりとペンを走らせ 皆カタカタと指をたたく その部屋は不釣合いで 木枠の大きな窓 時代へのタイムスリップ 一人空を見る放課後の教室 黒板の上には標語 行事・コンダテ・清掃当番 僕にはもういっぱい…

忘れられた道

青ざめた顔面 月の光に映し 瓦礫で踊る 過ぎし日の道標(みちしるべ) 今、歩いてきた路は、闇の中へと過ぎ去り 次のモノノ価値に、過去の路が敷かれる 錆びれた線路に、舌を寄せれば きしんだレールの、幾世もの錆 シャーシャー キシャーキシャー 沈黙の中 …