2005-03-27から1日間の記事一覧

編集後記

この度、仕事の関係により仙台から埼玉へと引っ越すこととなり、東北を離れることとなった。私は主として詩を、地域の風土から得た物により創作しているため、大きく拠点が変わる今回を一つの区切りとすることとした。 そのなかでもここに掲載の詩は、2003年…

この胸に 涙流れん この胸に 涙流れん 涙とは 悲しみなり 宿りなき 恨み 悔い出せぬ ありか シジマヘトうめく この胸に 涙流さん この胸に 涙流さん 涙とは 最たるものなり こらええぬ とどまらぬ 一番の時なり きずついたアゴを正せ この胸に 涙流さぬ この…

遠い空の果ての悲しみ

テロリストとは何ぞや この国の 革命家とは何か 我らは 悲しみを知らない 例えば、老けた彼なのか 大学受験の会場で、はじめて見かけた忘れ物 安保時代の忘れ物 白衣を羽織りメット付け 白いマスクにサングラス 古よりか伝えしは 朝早くからビラ配り、授業は…

ゲロゲーロ

お腰が痛む 4日間出張を続け 明日は5日目だ 顔を付け合せた部長は 1点に辟易《へきえき》して 私の腰はギリギリする △と×の差は大きい ビジネスホテルのベットの上で 足は正座をしたまま 両手を前に出してうずくまり アラーへといかぬまでも 枕を抱えてカ…

遅くおきた昼に

おそよーございます 真ん中に昇った太陽に 乾いて白い空に おそよーございます 部屋に住んでる鉢植えに 日の光を受けたカーテンに 酒瓶が転がっています ごめんなさい昨日も飲みました 一昨日は店で飲みました 今日も友と飲みます 昔はビールが少ししか飲め…

放課後の時

教室の空気は重い 口聞《き》く者おらず 皆《みな》かりかりとペンを走らせ 皆カタカタと指をたたく その部屋は不釣合いで 木枠の大きな窓 時代へのタイムスリップ 一人空を見る放課後の教室 黒板の上には標語 行事・コンダテ・清掃当番 僕にはもういっぱい…

忘れられた道

青ざめた顔面 月の光に映し 瓦礫で踊る 過ぎし日の道標(みちしるべ) 今、歩いてきた路は、闇の中へと過ぎ去り 次のモノノ価値に、過去の路が敷かれる 錆びれた線路に、舌を寄せれば きしんだレールの、幾世もの錆 シャーシャー キシャーキシャー 沈黙の中 …

教室

友はもういない 祭りがひらける 目を取り 首切り 皮をむく 茶碗に土もり 泥の味噌汁を炊く かこめかこめ 机をかこめ 最初にいないのだーれだ 足を取られたのは私 手を切られたのは君 耳を忘れたのはあなた 影となったのは僕 皆の色が混じりだす 酒の水の中で…

砂浜にて

波の音 空の光 風の声 ぬれたTシャツをかわかす はだかの少女 波と共に飛び跳ね 打ち上げられた海藻を 空に手渡す 暑い この青い空の下 無垢な 真砂の浜が広がる まだ 見えない 生活の息吹が やがて時が来て 海の家の声が聞こえるだろう 波の音 空の光 風の…

貧者の巣

杉の柱が、世間の光をおおう 中学生までもが、我らを貧と見なす 近づく虫を、ことごとく手のひらでつぶした 彼らの仲間になるつもりはなかった 戸口から窓へ すずしげなる虫を 掴んでは放し リンプンを部屋にばらまいた そのような異国の感じ方もあるのだよ …

異なる広さで

東京 周りの生き物は動いている 激しく 通り過ぎていく 異界からの侵入者を避けるように 動かぬ物は 意志をもたない無機物 壁は熱い 森は何処だ 大地は踏まれている アスファルトに この街の中で 私はゆっくり呼吸をする唯一の者だ 誰も 気づく者はいない 山…

スロー

昼休みに ふと 目を大きく開けて 周りのデスクを見回してみる 新聞を読む人 インターネットをする人 NHKを見る人 自分の周りの時が ゆっくり流れている 空に 雲が流れる ケヤキが ゆれている 時間という物を区切り 行動を規定していくのではなく 周りの空…

世界の広さ

プラトン 世界の形相としてのイデアを、芸術として形作る。それは世界の形 トマス 神の真理と哲学の真理、世界は哲学にとって狭いが、啓示として世界の真理が得られる。 特別な聖職者が真理を得る。 カント 私達のは物自体を認識することは出来ない。感性と…

要求

私が唯、それが世界の姿であると、存在を保証できるものがわかればよい。 考える私、その私にたいして、世界はこう存在しているとする解釈を、実存として満たされることを欲する。 私には、それは式ではなかった。 考えるゆえに存在する。 存在定義を与えら…

問題

私は生活していく上で、恵まれていたと思う。 金銭的には社会の下層を歩いていたとしても、肉体的に劣っている私は、何らかの形で 周りの人間に助けられ生活をしてくることが出来た。 今もまた、周りの人間と集団として生きることによって、かろうじて仕事を…

ユウエイ

どうして それが、私を捉えた 黒板に削られるチョークの音 整列された人形の影 冬の雪山のように 夜中の月のように 壊れていない線が 明らかになる 世界は壊れている 削り取ることによって町が作られる 青空を削り、大地を削り 自然を削り、環境をつくる 一…

ウミ

新月の夜に、塀に反る。 人となることを欲しない 材木のように 拒否する。 世界のキーを求める ・・・救済 存在なき世界に 唯、死をアポケーしているだけ 闇を、孤独を ほかにスガルモノモが無いんだ (2003.12.24)

ザイン

なぜ社会で生きることにより満たされないのか 問われれば、下のように答える 私には、世界を求める手段が足りないからだと なぜ社会で暮らすことにより満たされないのか 問われれば、下のように答える 私には、世界を捕らえる手段が足りないからだと 我々は…

持つ者が 豊かさのうちに過ごすだけが 旅ではない 何も無き者にも 世界は姿をさらす 人は社会の中で 生まれも育ちも平等ではない しかし 自然はすべてのものに旅を許す (2003.11.19)

終末の空

少しずつ移り行く景色を、人もまばらな車内から眺めていると 次第に空は暮れていき、終わりが近づいてきた。 この果て無き旅路は、空(くう)へと向かい 死をイメージさせる紫色の光に、吸い込まれていけばよいのに (2003.10.28)

束縛

世界に腺を引く 人は進むことが出来る 全てが自由の中では、すべてが対称であり 何もすることが出来ない 束縛こそが境界を引き 人に行動を与えているのか 存在すらも束縛から起因する物か (2003.7.10)

粘性を持ったものが 手を引く 髪引く 足を引く 樹液のようなたれかたで 手に 足に 髪に 私は粘性に捕らえられる 世界の粘性に 境界を失うものに (2003.6.2)

地下鉄のホームで

あれは良くないよ 帰宅する時のあの光は 不自然な明かりで照らされた中に ふと、新しい光が2つ近づいて来る 僕はその度に、なにか吸い込まれるような 目から近づいていくような いつも不思議なんだよ 君は感じないのかい (2003.5.11)

重なる夜道

うぉ〜〜ん うぉおお〜〜ん 私の帰る故郷は、山辺の向こうにあるという 柳の陰を歩むれば いとしめやかに降り注ぐ 霞める頬の はかなさよ 重なる葉音 刻みゆく 私の影を切り裂きながら うぉ〜ん うぉ〜ん うぉおお〜〜ん 止まる事を知りながら 爪先立ちで 走…

停滞

花を見つめるように 社会に止まるのか 風の声を聞くように 街の中でたたずむのか 世界は美しい それゆえに醜い (2003.5.7)

イカロス

飛ぶことなど望まない 空さえ見上げることが出来ないのだから 浅黒く 大地は望み 天を秤にかける 全ては地に沈み 高らかに謳うものなどいない 皮を裂け 翼の生まれを より深きものへの飛翔を為せ (2003.5.6)

この足で

薄やいだ空の下 手を大地に伸ばす 重ねゆく日々とは 希望とは 一葉一葉(いちよう)を指の間に挟み その葉の数を数える 幸せのクローバーを探して 私には見出せない この幸せを 幾つもの過ぎ去った日々を 支えられた言葉さえも風に巻き 差し伸べられた手さえ…

それでも人は

もう さわらないで下さい 夕暮の下(もと) ほほえむあなたの息さえも 私には強く感じられるから 思うだけで閉ざされてしまうから すべてが孤独に見ゆる日 荒涼たる秋の枝のように 一重(ひとえ)の風に奮われて 最後の一葉(いちよう)をも失ってしまうから…

火を放ったのは

火を放ったのは誰だ 冬の空気に、枝が張りそめ 霜柱のきしみに細毛がふるえる 野は焼かれ、田には黒煙が立つ 黒影は、私は白痴(ばか)だとささやく街人に思えた そうだ、これは私の望んだものだ ふるわれた灰は、次の獲物を探す 枝を結んでいたクモが、もや…

日だるみの中

今日も今日とて溶けてゆく 日だるみの中 目をもたげる 刺し込むのは 週末のくびき 私は何を仰ぐのだろうか 舞い散る砂の粒、けだし 波に降りてゆく 地表は溶け合い、沼を汚す 動かねばならぬ腕の先 この手はよりよく重力をとらえる 人の子が進むにつれて負わ…