ひょうけつ

詩 感人

うみの　うえの　くもは
ひろく　そらに　わたり
おやは　こども　つれて
あおの　なかに　すわる

かぜは　とけて　とまり
ときの　なかに　おちて
よせて　かえす　なみも
ひろく　みれば　おなじ

ひとは　ひとを　あいし
やがて　ひとを　やどす
ひとは　いえに　そだち
いずれ　みちを　さがす

ひとり　まちを　すてて
ふかく　もりを　あるく
きりの　やまを　こえて
やがて　うみに　いたる

いきる　ものの　すべて
うみに　せいを　やどし
うまれ　しぬる　ものは
いずれ　ここに　かえる

たびの　みちは　こおり
ほしに　うでを　のばす
いのり　つむぐ　ものも
ゆめに　おちて　おわる

　　　　（2005.1.28）
　秋田から青森へと旅を続けて鰺ヶ沢へと至り、風の止んだ冬の日本海において、穏やかな波と動きのない空を眺める。(太宰の疑問：鰺ヶ沢町（３）)
ひらがなで、音のリズムを一定に、倒置を用いず平易に