2006-12-01 輝やける手 詩 萩原朔太郎 おくつきの砂より けちえんの手くびは光る かがやく白きらうまちずむの屍蝋の手 指くされども らうらんと光り哀しむ。 ああ故郷にあればいのち青ざめ 手にも秋くさの香華おとろへ 青らみ肢体に蛍を点じ ひねもす墓石にいたみ感ず。 みよ おくつきに銀のてぶくろ かがやき指はひらかれ 石英の腐りたる われが烈しき感傷に けちえんの、らうまちずむの手は光る。 目次に戻る