見えない兇賊

両手に兇器
ふくめんの兇賊
往来にのさばりかへつて
木の葉のやうに
ふるへてゐる奴。

いつしよけんめいでみつめてゐる
みつめてゐるなにものかを
だがかはいさうに
奴め 背後《うしろ》に気がつかない、
背後には未知の犯罪
もうもうとしてゐる黒の板塀。

夜目にも光る
白銀《しろがね》の服を着こんだ奴
この奇体な
それでゐて
みたものもない片目の兇賊。

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