緑蔭倶楽部

都のみどりば瞳《ひとみ》にいたく
緑蔭倶楽部の行楽は
ちまたに銀をはしらしむ
五月はじめの朝まだき
街樹の下に並びたる
わがともがらの一列は
はまきたばこの魔酔より
襟脚きよき娘らをいだきしむ。
緑蔭倶楽部の行楽の
その背広はいちやうにうす青く
みよや都のひとびとは
手に手に白き皿を捧げもち
しづしづとはや遠近《をちこち》を行きかへり
緑蔭倶楽部の会長の
遠き画廊を渡り行くとき。

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