あかるい屏風のかげにすわつて
あなたのしづかな寝息をきく。
香炉のかなしい烟のやうに
そこはかとたちまよふ
女性のやさしい匂ひをかんずる。

かみの毛ながきあなたのそばに
睡魔のしぜんな言葉をきく
あなたはふかい眠りにおち
わたしはあなたの夢をかんがふ
このふしぎなる情緒
影なきふかい想ひはどこへ行くのか。

薄暮のほの白いうれひのやうに
はるかに幽かな湖水をながめ
はるばるさみしい麓をたどつて
見しらぬ遠見の山の峠に
あなたはひとり道にまよふ 道にまよふ。

ああ なににあこがれもとめて
あなたはいづこへ行かうとするか
いづこへ、いづこへ、行かうとするか。
あなたの感傷は夢魔に酢えて
白菊の花のくさつたやうに
ほのかに神秘なにほひをたたふ。

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