鴉毛の婦人

やさしい鴉毛の婦人よ
わたしの家根裏の部屋にしのんできて
麝香のなまめかしい匂ひをみたす
貴女《あなた》はふしぎな夜鳥
木製の椅子にさびしくとまつて
その嘴《くちばし》は心臓《こころ》をついばみ 瞳孔《ひとみ》はしづかな涙にあふれる
夜鳥よ
このせつない恋情はどこからくるか
あなたの憂鬱なる衣裳をぬいで はや夜露の風に飛びされ。

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