五月の死びと

この生《いき》づくりにされたからだは
きれいに しめやかに なまめかしくも彩色されてる
その胸も その脣《くち》も その顔も その腕も
ああ みなどこもしつとりと膏油や刷毛で塗られてゐる。
やさしい五月の死びとよ
わたしは緑金の蛇のやうにのたうちながら
ねばりけのあるものを感触し
さうして「死」の絨毯に肌身をこすりねりつけた。

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