2005-05-07から1日間の記事一覧

柳も かるく

やなぎも かるく 春も かるく 赤い 山車《だし》には 赤い児がついて 青い 山車には 青い児がついて 柳もかるく はるもかるく けふの まつりは 花のようだ 目次に戻る ルビは《》で示した。 傍点は太字で示した。 横線はアンダーラインで示した。 旧字の一部…

春は かるく たたずむ さくらの みだれさく しづけさの あたりに 十四の少女の ちさい おくれ毛の あたりに 秋よりは ひくい はなやかな そら ああ けふにして 春のかなしさを あざやかにみる 目次に戻る

怒り

かの日の 怒り ひとりの いきもののごとくあゆみきたる ひかりある くろき 珠のごとく うしろよりせまつてくる 目次に戻る

哭くな 児よ

なくな 児よ 哭くな 児よ この ちちをみよ なきもせぬ わらひも せぬ わ 目次に戻る

ちいさい ふくろ

これは ちいさい ふくろ ねんねこ おんぶのとき せなかに たらす 赤いふくろ まつしろな 絹のひもがついてゐます けさは しなやかな 秋 ごらんなさい 机のうへに 金糸のぬいとりもはいつた 赤いふくろがおいてある 目次に戻る

しづかなる ながれ

せつに せつに ねがへども けふ水を みえねば なぐさまぬ こころおどりて はるのそらに しづかなる ながれを かんずる 目次に戻る

ゆくはるの 宵

このよひは ゆくはるのよひ かなしげな はるのめがみは くさぶえを やさしい唇《くち》へ しつかと おさへ うなだれてゐる 目次に戻る

おもひなき 哀しさ

はるの日の わづかに わづかに霧《き》れるよくはれし野をあゆむ ああ おもひなき かなしさよ 目次に戻る

空と光

彫《きざ》まれたる 空よ 光よ 目次に戻る

宇宙の 良心

宇宙の良心―耶蘇《イエス》 目次に戻る

ひとつの ながれ

ひとつの ながれ あるごとし、 いづくにか 空にかかりてか る、る、と ながるらしき 目次に戻る

郷愁

このひごろ あまりには ひとを 憎まず すきとほりゆく 郷愁 ひえびえと ながる 目次に戻る

秋の壁

白き 秋の 壁に かれ枝もて えがけば かれ枝より しづかなる ひびき ながるるなり 目次に戻る

おもひ

かへるべきである ともおもわれる 目次に戻る

春も 晩く

春も おそく どこともないが 大空に 水が わくのか 水が ながれるのか なんとはなく まともにはみられぬ こころだ 大空に わくのは おもたい水なのか 目次に戻る

毛蟲を うづめる

まひる けむし を 土にうづめる 目次に戻る

沼と風

おもたい 沼ですよ しづかな かぜ ですよ 目次に戻る

感傷

赤い 松の幹は 感傷 目次に戻る

白い 路

白い 路 まつすぐな 杉 わたしが のぼる、 目次に戻る

白い 雲

秋の いちじるしさは 空の 碧《みどり》を つんざいて 横にながれた白い雲だ なにを かたつてゐるのか それはわからないが、 りんりんと かなしい しづかな雲だ 目次に戻る

秋の日の こころ

花が 咲いた 秋の日の こころのなかに 花がさいた 目次に戻る

かすかな 像

山へゆけない日 よく晴れた日 むねに わく かすかな 像《イメヱジ》 目次に戻る

怒れる 相

空が 怒つてゐる 木が 怒つてゐる みよ! 微笑《ほほえみ》が いかつてゐるではないか 寂寥、憂愁、哄笑、愛慾、 ひとつとして 怒つてをらぬものがあるか ああ 風景よ、いかれる すがたよ、 なにを そんなに待ちくたびれてゐるのか 大地から生まれいづる者を…

はらへたまつてゆく かなしみ

かなしみは しづかに たまつてくる しみじみと そして なみなみと たまりたまつてくる わたしの かなしみは ひそかに だが つよく 透きとほつて ゆく こうして わたしは 痴人のごとく さいげんもなく かなしみを たべてゐる いづくへとても ゆくところもない…

キーツに 寄す

うつくしい 秋のゆふぐれ 恋人の 白い 横顔《プロフアイル》―キーツの 幻《まぼろし》 目次に戻る

皎々とのぼつてゆきたい

それが ことによくすみわたつた日であるならば そして君のこころが あまりにもつよく 説きがたく 消しがたく かなしさにうづく日なら 君は この阪路《さかみち》をいつまでものぼりつめて あの丘よりも もつともつとたかく 皎々と のぼつてゆきたいとは おも…

人間

巨人が 生まれたならば 人間を みいんな 植物にしてしまうにちがいない 目次に戻る

あをい 水のかげ

たかい丘にのぼれば 内海《ないかい》の水のかげが あをい わたしのこころは はてしなく くづをれ かなしくて かなしくて たえられない 目次に戻る

不思議をおもふ

たちまち この雑草の庭に ニンフが舞ひ ヱンゼルの羽音《はおと》が きわめてしづかにながれたとて 七宝荘厳《しつぽうそうごん》の天の蓮華《れんげ》が 咲きいでたとて わたしのこころは おどろかない、 倦み つかれ さまよへる こころ あへぎ もとめ もだ…

黎明

れいめいは さんざめいて ながれてゆく やなぎのえだが さらりさらりと なびくとき あれほどおもたい わたしの こころでさへ なんとはなしに さらさらとながされてゆく 目次に戻る