2006-02-18から1日間の記事一覧
いいお天気ですなあ とまた しばらくでしたなあ おや、どこだらう たしかにいまのは 【まるめろ】の声だつたが…… 目次に戻る 傍点は太字で示した。 ルビは《》で示した。 旧漢字の一部を新字体になおした。 対応できない字は【】で示した。 ルビは底本のもの…
銭で売買されるには あんまりにうつくしすぎる 店のおかみさん こんなまつ赤な林檎だ 見も知らない人なんかに 売つてやりたくなくはありませんか 目次に戻る
おう、おう、おう ならんだ ならんだ 日に焼けた 聖フランシス様のお顔が ずらりとならんだ 綺麗に列んだ 目次に戻る
林檎といつしよに ねんねしたからだよ それで わたしの頬つぺも すこし赤くなつたの きつと、そうだよ 目次に戻る
さびしい林檎と 遊んでおやり おう、おう、よい子 目次に戻る
りんごあげよう 転がせ 子どもよ おまへころころ 林檎もころころ 目次に戻る
こどもはいふ 赤い林檎のゆめをみたと いいゆめをみたもんだな ほんとにいい いつまでも わすれないがいいよ 大人《おとな》になつてしまへば もう二どと そんないい夢は見られないんだ 目次に戻る
ふみつぶされたら ふみつぶされたところで 光つてゐる林檎さ 目次に戻る
林檎はびくともしやしない そのままくさつてしまへばとて 目次に戻る
どうしたらこれが憎めるか このまつ赤な林檎が…… 目次に戻る
こどもよ こどもよ 赤い林檎をたべたら お美味《いし》かつたと いつてやりな 目次に戻る
くちつけ くちつけ 林檎をおそれろ 林檎にほれろ 目次に戻る
娘達よ さあ、にらめつこをしてごらん このまつ赤な林檎と 目次に戻る
林檎はどこにおかれても うれしさうにまつ赤で ころころと ころがされても 怒りもせず うれしさに いよいよ まつ赤に光りだす それがざびしい 目次に戻る
おや、おや ほんとにころげでた 地震だ 地震だ 赤い林檎が逃げだした りんごだつて 地震はきらひなんだよう、きつと 目次に戻る
ほら、ころがつた 赤い林檎がころがつた な! 嘘嘘嘘 その嘘がいいぢやないか 目次に戻る
林檎をしみじみみてゐると だんだん自分も林檎になる 目次に戻る
両手をどんなに 大きく大きく ひろげても かかへきれないこの気持ち 林檎が一つ 日あたりにころがつてゐる 目次に戻る
沼の真菰《まこも》の 冬枯れである むぐつちよに ものをたづねよう ほい どこいつたな 目次に戻る
いつとしもなく めつきりと うれしいこともなくなり かなしいこともなくなつた それにしても野菊よ 真実に生きようとすることは かうも寂しいものだらう 目次に戻る
淙々《そうそう》として 天《あま》の川がながれてゐる すつかり秋だ とほく とほく 豆粒のやうなふるさとだのう 目次に戻る
まよなか 尿に立つておもつたこと まあ、いつみても 星の綺麗な 子どもらに 一掴みほしいの 目次に戻る
その声でしみじみ 螽斯《こほろぎ》、螽斯 わたしは読んでもらひたいんだ おまえ達もねむれないのか わたしは わたしは あの好きな比尼母経《びにもきやう》がよ 目次に戻る
まづしさを よろこべ よろこべ 冬のひなたの寒菊よ ひとりぼつちの暮鳥よ、蠅《はえ》よ 目次に戻る
こどもたちを 叱りつけてでもゐるのだらう 竹藪の上が あさつぱらから 明るくなつたり 暗くなつたり ほんとに冬の雀《すずめ》らである 目次に戻る
うつとりと 野糞をたれながら みるともなしに ながめる青空の深いこと なんにもおもはず 粟畑のおくにしやがんでごらん まつぴるまだが 五日頃の月がでてゐる ぴぴぴ ぴぴ ぴぴぴぴ ぴぴぴぴ どこかに鶉《うずら》がゐるな 目次に戻る
宗教などといふものは もとよりないのだ ひよろりと 天をさした一本の紫苑よ 目次に戻る
とうもろこしの花が つまらなさうにさいてゐる あはははは だれだ わらつたりするのは まつぴるまの 砂つぽ畑だ 目次に戻る
くもの巣 松の落葉が いい気持さうに ひつかかつてゐる あ、びつくりした 昼、日中 目次に戻る
松の葉がこぼれてゐる どこやらに 一すぢの 風の川がある 目次に戻る