晴夜

星のちかい山の小都会で、娘は病ひに臥せつてゐた。

天《そら》は、いくたびか雪を降らせた。

それから、幾夜さか、晴れた天《そら》がさしのぞかれたが、屋根の積雪はかたくて、もう月光をも透《とほ》さなかつた。
老母は時折、窓をあけて、屋根の上の雪をかきあつめてゐた。

羽搏《はばた》くものがきこえた、娘は雪のつまつた、枕をして、胸の上で、静かに、また、手を組みあはせた。

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