みづ絵

柔和な動物 あの山羊達は
どうして あんな老年《としより》じみた
おどけたお面を被つてゐるのだらう
気永《きなが》に しかも まじめくさつて
草を食《は》んでは
また首を上げて私を見る

日が照つてゐる草の上
動物の匂ひが漂つてきて
どうかすると
私はこんな事を考へる
ほととぎすが鳴いてゐる
現に 深い森の中で

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