魚を喰べる

山に来て
小さき宿り その夕餉《ゆふげ》の膳に魚《うを》を喰《たう》べる

荒塩の舌にきびしく 小さき骨の歯に触れるども
何事もなき夕暮なれば
また 何ごとの口惜しくもあらず

この家のぢぢばば
なほ 永く生き給へと
波青き日本海は見ずとも その荒海の魚介をたうべて
まこと 生き甲斐のあるべければ

山に来て
夕餉の膳に 我がいのち いとしみにけり

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