2005-08-13 魚を喰べる 詩 津村信夫 山に来て 小さき宿り その夕餉《ゆふげ》の膳に魚《うを》を喰《たう》べる 荒塩の舌にきびしく 小さき骨の歯に触れるども 何事もなき夕暮なれば また 何ごとの口惜しくもあらず この家のぢぢもばばも なほ 永く生き給へと 波青き日本海は見ずとも その荒海の魚介をたうべて まこと 生き甲斐のあるべければ 山に来て 夕餉の膳に 我がいのち いとしみにけり 目次に戻る