2006-01-30 朝の詩 詩 山村暮鳥 しののめのお濠端に立ち お濠に張りつめた 氷をみつめる此の気持 此のすがすがしさよ 硝子《ぐらす》のやうな手でひつつかんだ 石ころ一つ その石ころに全身の力をこめて なげつけた氷の上 石ころはきよろきよろと 小鳥のやうにさへづつてすべつた (おお太陽!) おお此の気持で 人間の街へ飛びこまう あの石ころのやうに 目次に戻る