自分はいまこそ言はう

なんであんなにいそぐのだらう
どこまでゆかうとするのだらう
どこで此の道がつきるのだらう
此の生の一本みちがどこかでつきたら
人間はそこでどうなるだらう
おお此の道はどこまでも人間とともにつきないのではないか
谷間をながれる泉のやうに
自分はいまこそ言はう
人生はのろさにあれ
のろのろと蝸牛《ででむし》のやうであれ
そしてやすまず
一生に二どと通らぬみちなのだからつつしんで
自分は行かうと思ふと

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