2006-01-30 自分はいまこそ言はう 詩 山村暮鳥 なんであんなにいそぐのだらう どこまでゆかうとするのだらう どこで此の道がつきるのだらう 此の生の一本みちがどこかでつきたら 人間はそこでどうなるだらう おお此の道はどこまでも人間とともにつきないのではないか 谷間をながれる泉のやうに 自分はいまこそ言はう 人生はのろさにあれ のろのろと蝸牛《ででむし》のやうであれ そしてやすまず 一生に二どと通らぬみちなのだからつつしんで 自分は行かうと思ふと 目次に戻る