疾風の詩

あらゆるものをけちらし
あらゆるものに吼えかかる疾風
街上をまつしぐらに
疾風はまるで密集せる狼のやうだ
そしてあばれてきて郵便局のぐらすの大扉につきあたり
けれどすばやく
くるりとひきかへし
右に折れ
停車場の方をめがけて走つて行つた
そのあとの街上さびしく
もめくちやにされた自分はそこで紙屑のやうにひるがへりつつ
疾風のゆくへをじつとながめてゐた
この疾風はどうだ
それだのに人間の自分は
おお紙屑のやうにひるがへりつつ

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