2006-01-30 単純な朝餐 詩 山村暮鳥 スープと麺麭 そして僅かな野菜 何といふ単純な朝餐《あさげ》であらう 朝も朝 此の新しい一日のはじめ スープのにほひ ぱんのにほひ その上に蒼天のにほひ 一家三人 何といふ美しい朝餐であらう 屋根から雀もおりて来よ 此の食卓はまづしいけれど みろ 此の子どもを 此の小さな手にその匙《さじ》をもつたところを ひもじさをぢつと耐へて 感謝のあたまを低く垂れ わたしらのやうにたれ わたしの祈りをしづかにまつてゐるではないか 此の食卓に祝福あれ! 目次に戻る