2006-07-01 干からびた犯罪 詩 萩原朔太郎 どこから犯人は逃走した? ああ、いく年もいく年もまへから、 ここに倒れた椅子がある、 ここに凶器がある、 ここに屍体がある、 ここに血がある、 さうして青ざめた五月の高窓にも、 おもひにしづんだ探偵のくらい顔と、 さびしい女の髪の毛とがふるへて居る。 目次に戻る