まづしき展望

まづしき田舎に行きしが
かわける馬秣《まぐさ》を積みたり
雑草の道に生えて
道に蠅のむらがり
くるしき埃のにほひを感ず。
ひねもす疲れて畔《あぜ》に居しに
君はきやしやなる洋傘《かさ》の先もて
死にたる蛙を畔に指せり。
げにけふの思ひは悩みに暗く
そはおもたく沼地に渇きて苦痛なり
いづこに空虚のみつべきありや
風なき野道に遊戯をすてよ
われらの生活は失踪せり。

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