2005-05-08から1日間の記事一覧

無題

夢の中の自分の顔と言うものを始めて見た 発熱がいく日《にち》もつづいた夜 私はキリストを念じてねむつた 一つの顔があらわれた それはもちろん 現在の私の顔でもなく 幼ない時の自分の顔でもなく いつも心にゑがいてゐる 最も気高い天使の顔でもなかつた …

無題

神様 あなたに会ひたくなつた 目次に戻る

無題

雪がふつてゐるとき 木の根元をみたら 面白い小人《こびと》がふざけてゐるような気がする 目次に戻る

木枯

風はひゆうひゆう吹いて来て どこかで静まつてしまふ 目次に戻る

雨は土をうるほしてゆく 雨といふもののそばにしやがんで 雨のすることをみてゐたい 目次に戻る

眼がさめたように 梅にも梅自身の気持がわかつて来て そう思つてゐるうちに花が咲いたのだろう そして 寒い朝霜がでるように 梅自からの気持がそのまま香《におい》にもなるのだろう 目次に戻る

無題

赤いシドメのそばへ によろによろと 青大将を考えてみな 目次に戻る

無題

ナーニ 死ぬものかと 児《こ》の髪の毛をなぜてやつた 目次に戻る

無題

息吹き返させる詩はないか 目次に戻る

病床無題

人を殺すような詩はないか 目次に戻る

冬の野

死ぬことばかり考えてゐるせいだろうか 枯れた茅《かや》のかげに 赤いようなものを見たとおもつた 目次に戻る

ながいこと考えこんで きれいに諦《あきら》めてしまつて外へ出たら 夕方ちかい樺色《かばいろ》の空が つめたくはりつめた 雲の間《あいだ》に見えてほんとにうれしかつた 目次に戻る

麗日

桃子 また外へ出て 赤い茨《いばら》の実《み》をとつて来ようか 目次に戻る

冬の夜

皆《みんな》が遊ぶような気持でつきあへたら そいつが一番たのしかろうとおもへたのが気にいつて 火鉢の灰を均《な》らしてみた 目次に戻る

夕焼

いま日が落ちて 赤い雲がちらばつてゐる 桃子と往還《おうかん》のところでながいこと見てゐた 目次に戻る

どこかに 本当に気にいつた顔はないのか その顔をすたすたつと通りぬければ じつにいい世界があるような気がする 目次に戻る

ふるさとの山

ふるさとの山をむねにうつし ゆうぐれをたのしむ 目次に戻る

ふるさとの川

ふるさとの川よ ふるさとの川よ よい音《おと》をたててながれてゐるだろう 目次に戻る

かなしみ

かなしみを乳房《ちぶさ》のようにまさぐり かなしみをはなれたら死のうとしてゐる 目次に戻る

月にてらされると ひとりでに遊びたくなつてくる そつと涙をながしたり にこにこしたりしておどりたくなる 目次に戻る

秋のひかり

ひかりがこぼれてくる 秋のひかりは地におちてひろがる このひかりのなかで遊ぼう 目次に戻る

天というのは あたまのうへの みえる あれだ 神さまが おいでなさるなら あすこだ ほかにはゐない 目次に戻る

水や草は いい方方である

はつ夏の さむいひかげに田圃《たんぼ》がある そのまわりに ちさい ながれがある 草が 水のそばにはえてる みいんな いいかたがたばかりだ わたしみたいなものは 顔がなくなるようなきがした 目次に戻る

お銭

さびしいから お銭《あし》を いぢくつてる 目次に戻る

あの 雲は くも あのまつばやしも くも あすこいらの ひとびとも 雲であればいいなあ 目次に戻る

めを つぶれば あつい なみだがでる 目次に戻る

柿の葉

柿の葉は うれしい 死んでもいいといつてるふうな みずからを無《な》みする その ようすがいい 目次に戻る

もぢやもぢやの 犬が 桃子の うんこを くつてしまつた 目次に戻る

この 豚だつて かわいいよ こんな 春だもの いいけしきをすつて むちゆうで あるいてきたんだもの 目次に戻る

こども

丘があつて はたけが あつて ほそい木が ひよろひよろつと まばらにはえてる まるいような 春の ひるすぎ きたないこどもが くりくりと めだまをむいて こつちをみてる 目次に戻る