2004-07-17 こころ 詩 萩原朔太郎 こころをばなににたとへん こころはあぢさゐの花 ももいろに咲く日はあれど うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。 こころはまた夕闇(ゆふやみ)の園生(そのふ)のふきあげ 音(おと)なき音(おと)のあゆむひびきに こころはひとつによりて悲しめども かなしめどもあるかひなしや ああこのこころをばなににたとへん。 こころは二人(ふたり)の旅びと されど道づれのたえて物言ふことなければ わがこころはいつもかくさびしきなり。