荒々しくも気高く

手の平を太陽にかざし
血潮を感じる僕ら

枝端を雪上(切情)にさらし
冬芽を宿す彼ら

インクの粘性を溶き
白線に時を書きゆける私


目尻につたう物を見
声をはらし地を走る僕ら

根を巌《いわお》に張り居《きょ》す
雷《らい》に割《さ》け霜に軋《きし》む彼ら

朴実に身をとし
時勢に流るを隔絶する私


色を肌に身に付け
顔を塗装で飾る僕ら

氷雨《ひさめ》に皮膚を削られ
風化し削美《さくび》され行く彼ら

裸体を海になげだし
荒野のみ歩む私


うつろい過ぎ来る世界
目を閉じ耳を塞ぐ私に
しじまの光を射し込み
存在を吼える強さを下さい

    (2005.1.12)
 葉の落ちた落葉樹に、連日降りつける雪に、冬芽を宿す木々の、枝端の切情を感じた。前日の夜、私は「手のひらを太陽に」の曲を聴いていた。