2005-02-24 樹木の影に 詩 立原道造 日々のなかでは あはれに 目立たなかつた あの言葉 いま それは 大きくなつた! おまへの裡【うち】に 僕のなかに 育つたのだ ……外に光が充ち溢れてゐるが それにもまして かがやいてゐる いま 僕たちは憩【いこ】ふ ふたりして持つ この深い耳に 意味ふかく 風はささやいて過ぎる 泉の上に ちひさい波らは ふるへてやまない……僕たちの 手にとらへられた 光のために 目次に戻る