旅行

この小さな駅で 鉄道の柵のまはりに
 夕方がゐる 着いて僕はたそがれる
 だらう

……路の上にしづかな煙のにほひ

僕の一歩がそれをつきやぶる 森が見
 える 畑に人がゐる
この村では鴉が鳴いてゐる

やがて僕は疲れた僕を固い平【たいら】な黒い寝
 床に眠らせるだらう 洋燈【タンプ】の明りに
 すぎた今日を思ひながら

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