2005-02-25 旅行 詩 立原道造 この小さな駅で 鉄道の柵のまはりに 夕方がゐる 着いて僕はたそがれる だらう ……路の上にしづかな煙のにほひ 僕の一歩がそれをつきやぶる 森が見 える 畑に人がゐる この村では鴉が鳴いてゐる やがて僕は疲れた僕を固い平【たいら】な黒い寝 床に眠らせるだらう 洋燈【タンプ】の明りに すぎた今日を思ひながら 目次に戻る