2005-03-22 閑寂 詩 中原中也 なんにも訪《おとな》ふことのない、 私の心は閑寂だ。 それは日曜日の渡り廊下、 ――みんなは野原へ行つちやつた。 板は冷たい光沢《つや》をもち、 小鳥は庭に啼《な》いてゐる。 締めの足りない水道の、 蛇口の滴《しづく》は、つと光り! 土は薔薇色《ばらいろ》、空には雲雀《ひばり》 空はきれいな四月です。 なんにも訪《おとな》ふことのない、 私の心は閑寂だ。 目次に戻る