荒々しい根源の爆発

ここ2日間友人が遊びに来ていて、東京のあちこちへ観光に出かけた。東京国立博物館浅草の雷門電気ブラン発祥の店「神谷バー」、明治神宮岡本太郎記念館と方々を見て来た。
色々見てきたのだが、ここでは岡本太郎記念館について少し話す。岡本太郎(1911〜1999)は「太陽の塔」の製作、「芸術は爆発だ」という台詞で有名な芸術家で、絵画・彫刻・文章と数多くの作品を残している。それらの作品の多くは川崎の岡本太郎美術館で見ることが出来るはずであり、ここ記念館は岡本太郎のアトリエだった場所にいくつかの作品を配置した所である。
表参道の駅を降りてしばらく歩く。さぞ爆発した建物ですぐに分かるだろうと思いきや、背の高い建物の中で埋もれており見つけるのには難儀した、出かける際には地図を持って行ったほうが良い。特に我々のような田舎者には都会の街はひどく分かりにくい。建物からして爆発して欲しい所である。
しかし一歩中に入るとそこは、まぎれもなく岡本太郎ワールドであり、「太陽の塔」で見られる顔や、外へと飛び出しそうな情熱の溢れた作品が人を出迎える。不思議な顔をした動物、触手を複雑な方向に伸ばした太陽、いくつもの顔が飛び出ているオブジェなど、展示されている作品のすべてがエネルギーに満ちている。そしてそのエネルギーは、野生のエネルギーであると私には思える。
記念館のパンフレットによると、岡本太郎縄文時代に着目していたようである。「こんな日本があったのか、これこそが日本なんだ。体中の血が熱くわきたち、燃え上がる。」と。
私は前日、博物館にて縄文時代の土器を見てきた。縄文時代の土器はその字のとおり縄で模様をつけた土器であり、その後の弥生時代の薄く繊細な模様の土器と比べると、土器が厚く、荒い模様で出来ている。その展示されている土器の一つに、火を思わせるような土器があった。四隅から火が上に燃え盛っているような感じを、形と模様で表していた。模様も無骨で荒々しい。確かにこの土器は、縄文と言う日本を感じさせ、ナウマン象等の巨体動物を追いかけ狩をして肉に食らい付くと言う、野生に満ちていた。
そのような点から作品を見ていくと、縄文の荒々しさ、血の沸き立つような猛々しさと、現代の複雑に絡み合った衝動が、人間の根源へとさかのぼり、体内で複雑に絡み合い、そして外へと爆発して弾き出されていると思える。人とはいったいどういうものに根ざしているのか。私達はどういった人間なのかという根源へとさかのぼる。作品のすべてが、厚く・太く・大きく・見るものを圧倒し訴えてくる。
岡本太郎はとても偉大である。万博後に生まれた我々に対しても、色あせない爆発を感じさせる。それは、人間の原点にさかのぼった爆発だからだと思う。みなさんもぜひ、東京に出かける際には行かれるとよろしい。