いざ 鎌倉へ

クロヒメ


人間を室内に閉じ込める、仕事を切り裂くように、休日は毎週どこかに出かけることにしている。今週は友人を誘い、鎌倉へと出かけた。
今年のNHKの大河ドラマが「義経」であることから、鎌倉は現在非常ににぎわっている観光スポットである。鎌倉から藤沢へと走る江ノ電では、数時間に一度「義経号」という列車が走り、鎌倉の街中にも、義経を尋ねて、というようなポスターが見られた。
しかし我々東北側からすれば鎌倉は敵である。平家から追われた義経は奥州に身を寄せていたが、頼朝の挙兵に応じて鎌倉に馳せ参じ、京都から壇ノ浦へと戦を勝利し続けていくのだが、法王との関係で頼朝との中が悪化し、今度は頼朝に追われることになり再び奥州へと落ち延びていく。頼朝は義経を追悼し、奥州藤原氏は頼朝の側につこうと義経を殺めるが、頼朝は藤原氏を滅ぼして国を統一することになるのである。つまり鎌倉は敵地ということになるのだろう。義経藤原氏が手を組んで南へと南下すれば、歴史は変わっていたのだろうか・・・
ちなみに義経は、奥州から大陸に渡り、チンギス・ハーンになったという説もあるそうである。
さて話を戻して、私が鎌倉を訪れるのは2度目であり、中学校の遠足以来である。その時は平日に出かけたために、初めて通勤地獄を味わってしまい、揺られて酔って気分を害したのを覚えている。他には青銅の大仏を見ただけで、印象には残っていない。大仏以外を見ようということで鶴岡八幡宮長谷寺を歩くことにした。
鶴岡八幡宮は1063年に源頼義が源氏の氏神として由比ケ浜辺にお祀りしたのが始まりで、その後、国を統一した源頼朝が、1191年に現在の地に移して整えた所でありそれなりに広い。
宮内を歩いていると、鳩サブレが代表的なお土産になっているだけあって鳩が多い。しかも、白い鳩がいた。勾当台公園でも日比谷公園でも白い鳩は見たことが無かった。かといって黒いのを見たことも無く、皆灰色であった。実際本当に白くて驚いた。ツヤがあるのだが雪の白さとも違い、花弁のやわらかい白さとも違い、モンシロチョウのような白さをしていた。
また、花が咲いていない蓮の池の前に不思議な石があった。それは「さざれ石」という石である。この「さざれ石」といは、「さざれ石の 巌となりて」という国歌の一説に出てくる石である。うんちくを読むと、さざれ石は、石灰石が長い年月の間に雨水で溶解され、その時に生じた粘着力の強い乳状液が次第に小石を凝結して、だんだん巨石となったもの、とある。非常に気の遠くなる年月がかかってできる石である。こう聞くとありがたいような気がするが、実物を見ると、唯小石が沢山集まって固まっているだけなので、あまり見栄えはよくない。
次は長谷寺長谷寺は鎌倉から江ノ電で3駅目。一駅の区間が短いので歩けそうではありましたが、その日は天気が悪く往復とも電車で行きました。長谷寺アジサイは20種以上、約2300株のあじさいが寺の後ろの斜面に咲いています。アジサイの見ごろは一週間後との事でしたが、アジサイの数いので部分的に咲いているだけでも見ごたえはありました。斜面に細い道が蛇行して上り下りしていてので、ゆっくり観察することが出来ます。
細い雨がシトシトと降る中で、薄い水色の装飾花と内側の小さな花が、緑の少し大ぶりな濃い互生の葉に囲まれて顔を上げている姿は可憐で良いですね。日本の梅雨に会う鼻差と思います。咲いている花の中では水色のクロヒメの姿に引き付けられました。(写真)
友人との話で、私はアジサイについて詳しくないので、二人で無学な話をしてしまったのですが、写真のクロヒメという種類のアジサイを見たときのことです。私はアジサイというのは、四つの花弁の小さい花が集合として手毬のように丸くなっているものだとばかり思っていましたが、写真の様に必ずしもそういうものばかりではないようです。丸くなるのは西洋アジサイアナベルアジサイなどで、一方写真のように、中心の小さい花と、まわりの大きな装飾花からなるのは、クロヒメ・ガクアジサイ・甘茶・ブルースカイ・ベニガクなどです。もともと関東地方に生息していたのは、後者の形のようです。
どういう会話があったかといいますと。クロヒメを見た我々は、真ん中の方はまだ咲いていないものだと思って、始めはこんなに小さいのに、綺麗な花が咲いて、そしてこの小さい蕾が全部咲いたら丸くなって綺麗だろうね、と話していました。私はその時、学校の先生とかは、こんな気持ちで生徒を見ているのかなあ、というようなことを表現して感想にしようと思ったのですが、その状態は既に花が咲いている状態と帰ってから分かり、危なく間違った知識を広めてしまいそうになりました。西洋タンポポなんかはそんな感じに花が咲いていくのでしょうが、写真ほど蕾は小さくないでしょう。
来週が見ごろだそうなので、興味の或る方はお出かけになられてはいかがでしょうか。長谷寺のほかにも、光則寺、極楽寺、成就寺、御霊神社など長谷駅付近の神社仏閣でも、参堂や境内にアジサイが揺れているそうです。