吹雪

それは 冬日に暮れた 何処の町の停車場であつたか

この線路《レール》は北にむけて涯《はて》しがない

新しい列車がつく 線路《レール》の上に粉《こ》をふらせながら

汽車《かま》の火熱《くわねつ》もねむたげだ

車窓から 少年の頬が三つあらはれる
正しい間隔をおいて 行儀よく
――屋根の上にも たいへん積つてゐるね
――瞼《まぶた》が重くなる筈だよ
――もう 幾時だらう
そのうちの一人が停車場の大時計に時刻を合はせてゐる

旅客の眠りはふかい
このさきで また蒼白い雪塊を見るであらうか 人等《ひとら》の意思する方向に それはまるで好奇な発見のやうに

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