2005-08-13 白髪 詩 津村信夫 昔の言葉は ほんとうに 生きてゐた (俺はかうやつて 老人の顔を見てゐる) 樹の枝に こまかく 白く 雪がふつてゐたやうだ その人の白髪は 恰度《ちやうど》人生の智慧のやうだ 美しい 光つてゐる 光つてゐる―― その輝きのうせないうちに 読みとつておかう 何を? それをどうしてきかうとするのだ つまり 私達を そしてお前達を 目次に戻る