海の民

日の本の民は
南の洋《よう》の
かな飛沫《しぶき》を
満身にあびてゐる……

感動はこみあげてくる
書物をとぢ
日をとぢる
蒼海《さうかい》を渡る男の児
豪壮の男の子
露伴先生は
鎮西八郎爲朝を
その勇武の生涯を
詩人と歌つた
八郎の詩は弓と矢
八郎の歌は弓と矢

近代を鎧《よろ》へる男の児
蒼海を渡る武人
豪壮の詩は
南の洋の
爽《さわ》やか飛沫をあびてゐる

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