罪《つみ》なれば物のあはれを
こゝろなき身にも知るなり
罪なれば酒をふくみて
夢に酔ひ夢に泣くなり

罪なれば親をも捨てて
世の鞭《むち》を忍び負ふなり
罪なれば宿を逐《お》はれて
花園に別れ行くなり

罪なれば刃《やいば》に伏《ふ》して
紅《あか》き血に流れ去《さ》るなり
罪なれば手に手をとりて
死の門《かど》にかけり入るなり

罪なれば滅び砕けて
常闇《とこやみ》の地獄のなやみ
嗚呼二人《ふたり》抱《いだ》きこがれつ
恋の火にもゆるたましひ

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