2006-02-18 ある時 詩 山村暮鳥 まあ、まあ どこまで深い靄だらう そこにもここにも 木が人のやうに立つてゐる あたまのてつぺんでは 艪《ろ》の音がしてゐる ぎいい、ぎいい そうかとおもつてきいてゐると 雲雀《ひばり》が一つさへづつてゐる これでいいのか 春だとはいへ ああ、すこし幸福すぎて 寂しいやうな気がする 目次に戻る