シジュウカラ

あわただしく
そして
あわただしげに
一人の鳥は 一羽の鳥を追いかけている

一羽は
揺れている カラマツのこずえを
上がっていく
一つずつ 忘れずに
回りながら 揺られながら
もう一羽は 後(あと)を追いかけていく
もう一人は その姿を追いかけている
けれど
鳥にはつばさがある
けれど
鳥にはつばさがある……

揺られている カラマツのこずえは
忘れないよう
その鳥の歌を 編んでいる
堅い つぼみのまま
ものしずかに揺れている
その枝の 先には――
赤い屋根
そして 十字架
やがて
消えていく 何もかも
見えなくなっていく
私は
どうしたらいい
私は
どうしたらいい……

頂に たどりつかないうちに
また……

 (2006.3.20-推敲4.10)
 軽井沢追分のカラマツ林にて、シジュウカラの姿を見つめて。