海鳥

ある夜ふけの遠い空に
洋燈のあかり白白ともれてくるやうにしる
かなしくなりて家家の乾場をめぐり
あるいは海岸にうろつき行き
くらい夜浪のよびあげる響をきいてる。

しとしととふる雨にぬれて
さびしい心臓は口をひらいた
ああ かの海鳥はどこへ行つたか。
運命の暗い月夜を翔けさり
夜浪によごれた腐肉をついばみ泣きゐたりしが
ああ遠く飛翔し去つてかへらず。

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